1993 Fiscal Year Annual Research Report
新生児期開心術における安全な心筋保護法確立のための実験的研究〜未熟心筋へのフリーラジカルスカベンジャー添加心筋保護液.改良UW液による心筋保護効果の検討〜
Project/Area Number |
05671111
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
村岡 隆介 福井医科大学, 医学部, 教授 (10026924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 幸夫 福井医科大学, 医学部, 助教授 (30111959)
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Keywords | 新生児乳児期心筋保護 / ハイドロキシエチルスターチ / UW液 |
Research Abstract |
本年度は、新生児家兎摘出心への改良UW液による心筋保護効果に関する研究として、UW液の構成成分であるハイドロキシエチルスターチ(HES)を心筋保護液に加え、その効果を研究中である。I群St.Thomas液(ST2)単独、及びII群ST2+HES(50g/l)、III群ST2+HES(100gl)の3種類の心筋保護液を用いて実験した。新生児家兎より摘出した心臓をworking heart灌流装置に接続し、I群からIII群について、それぞれ心筋保護液の反復投与による、20℃、120分の虚血再灌流実験を行った。 2分間の平均心筋保護液注入量は、I群、II群、III群で(以下同順)それぞれ11.6±3.4、7.55±1.19、4.07±1.18で、HES濃度を上げるほど注入抵抗は増加する。水分含有率は、各群0.819±013、0.821±0.004、0.790±0.033であり、心筋浮腫抑制効果は、III群から強くなり、II群ではI群と差がない傾向が認められた。次に、大動脈流量の%回復率は、各群94.2±28.4、85.4±27.3、54.4±19.5で、I群、II群に比べ、III群で低下する傾向をみとめた。さらに心拍数の%回復率は、各群98.9±8.9、92.8±7.3、93.0±16.3で、収縮期動大動脈圧の%回復率は各群95.3±3.8、94.0±5.9、91.1±8.2、冠動脈流量の%回復率は、77.5±5.5、80.0±13.4、73.0±4.0となっており、各群で有意差は認められていない。 以上のことから、HESの添加量として、50g/l程度以下が適切である可能性が示唆されている。現在さらに実験中である。
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