1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671122
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
前田 昌純 香川医科大学, 医学部, 教授 (30028427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 典之 香川医科大学, 医学部, 助手 (10236945)
中元 賢武 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (30180417)
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Keywords | 肺移植 / donor肺保存 / no-reflow現象 / 前灌流 |
Research Abstract |
3年度実績 肺移植におけるdonor肺の至適保存温度以下の低温冷却保存で示唆されたno-reflow現象(NR現象)を追求した。当初、ブタでの肺移植実験で本研究を追求したが、術中のgraftの温阻血傷害、hostの術中呼吸循環動態の影響など他因子の介在で機能評価の変動が大きかった。このためartifactを可及的に除くため、ウサギ心肺ブロックによるgraft機能評価モデルでNR現象を追求した。donor肺でのNR現象の原因として肺血管内残留血液の影響、非可逆的肺血管攣縮が考えられ、前灌流保存、デキストランによる防止の可能性を追求した。前灌流を行わない表面単純冷却保存では至適温度(8℃)未満では定流量再灌流モデルで肺動脈圧の異常高値、graft血液酸化能の低下、W/D比の血液W/Dへの近似、形態学的に肺内出血がみられた。この現象が、NR現象と考えられたが、前灌流冷却保存でも同様の現象がみられた。以上よりNR現象の原因はgraft血管内の血球成分の影響は否定的と考えられた。NR現象の可逆性の可能性については、復温にても血流閉塞がみられ非可逆的であると考えられた。膠質浸透圧維持剤であるデキストランの効果はみられなかった。至適温度によるgraftは温阻血傷害で肺間質水腫が出現し血流破綻が出現したが、NR現象とは明らかに異なるものであった。NR現象が肺血管のどのレベルで出現するか、肺血管拡張剤が有効であるか、今後さらに追求する必要があり、donor肺保存法の改善にはその治療、防止法の追求が必要と考える。
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