1993 Fiscal Year Annual Research Report
腎盂尿管移行部fetal ureterの尿通過性に関する水力学・病理学的検討
Project/Area Number |
05671293
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野々村 克也 北海道大学, 医学部, 助教授 (60113750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 和夫 北海道大学, 医学部, 助教授 (40111166)
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Keywords | 腎盂尿管移行部狭窄 / 走査電子顕微鏡 / 抗ヒトPGP9.5抗体神経染色 |
Research Abstract |
腎盂尿管移行部(以下PUJ)に関して、走査電子顕微鏡を用いて三次元的構築を解析するとともに、抗ヒトPGP9.5抗体を用いた神経染色によりPUJの狭窄と神経分布との関連につき検討を行なった。 検体は手術によって得られたPUJ:正常(腎腫瘍症例)5例、外因性狭窄(馬蹄腎の異常血管による狭窄あるいは術後の二次的線維化による狭窄)2例、内因性狭窄3例の計10検体である。内因性狭窄の筋層では等しく平滑筋細胞が直径約2.3μmと細小化しており、細胞数・筋束数も正常例・外因性狭窄例と比較して減少していた。また、筋束間の膠原線維束が著明に増加するとともに、個々の平滑筋細胞を包む膠原(細)線維鞘も正常と比較して密なフェルト状を呈する結果、平滑筋細胞間の距離は正常の7倍となっていた。神経分布に関してみると、内因性狭窄例では単位面積当たりの神経密度は正常例の約3分の1に減少していた。一方、病変部以外の腎盂・尿管・外因性狭窄例のPUJにおいては、筋・膠原線維の構築、神経分布ともに正常組織のそれと差を認めなかった。 以上のことより、内因性PUJ狭窄では、平滑筋細胞を包む膠原線維鞘の肥厚が細胞の伸展・収縮を妨げ、ひいては尿の通過性を障害すると考えられた。また、この膠原線維は平滑筋細胞自身によって産生されると考えられており、内因性狭窄の病態像として平滑筋細胞の機能異常が存在し、それには神経分布の異常が関与していることが示唆される。
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