1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671306
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩崎 雅志 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (60176542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布施 秀樹 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (40143292)
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Keywords | 免疫抑制剤 / シクロスポリン(Cs) / アザチオプリン(AZP) / ミゾリビン(MZR) / 造精機能障害 |
Research Abstract |
今回、シクロスポリン(Cs)による精巣の障害を組織学的に検討することと、他の免疫抑制剤であるアザチオブリン(AZP)およびミゾリビン(MZR)との比較を行った。CsをSprague-Dawley系ラットに2週間連日皮下注投与を行い、投与終了時、投与終了後2週、4週、6週において採血および精巣、精巣上体などを摘出して検討した。組織学的には、投与終了後6週においてCsの40mg/kgおよび80mg/kg投与群において精細管の長径の有意な減少を認めた。さらに、投与終了後6週においてCsの20mg/kg,40mg/kgおよび80mg/kg投与群で精細管内の精子有意な減少がみられた。また血中ホルモン値では、FSH値は投与終了時にdose dependentな有意な上昇がみられたがLH値およびテストステロン値には変化はみられなかった。以上より、Csは有意な上昇がみられたがLH値およびテストステロン値には変化はみられなかった。以上より、Csは造精機能およびセルトリ細胞機能には障害を与えるが、ライディヒ細胞機能には障害を与えないことが推定された。 次いで、免疫抑制剤であるCs、AZPおよびMZR3剤の比較検討を行った。方法は上述とほぼ同様であるが、投与方法は現在臨床にて通常行われている経口投与を用いた。投与量の設定は投与最大量が臨床投与量の約6〜8倍となるようにした。その結果では、1.精巣上体尾部の精子数は、Csでは投与終了後6週においてdose dependentに低下傾向を示したが、AZP,MZRでは投与直後より有意な減少がみられ、投与終了後6週までdose dependentな低下傾向を認めた。精巣組織像におてもCsよりもAZP,MZRにおいて精細管障害が強くみられた。2.精子運動率は、Csの20〜80mg投与群において投与直後に有意な低下がみられ、その後回復傾向がみられた。AZP,MZR投与群ではいずれの時点でも変化を認めなかった。 4.血中ホルモン値では、LH値はいずれの薬剤でも有意な差はみられず、FSH値はMZRにおいて投与終了後6週において上昇傾向をみた。テストステロン値は、AZPでは投与直後にdose dependentな有意な減少を認めたが、CsおよびMZRでは各時点において異常を認めなかった。 以上より、Cs、AZPおよびMZRとも造精機能障害を認めるが、CsよりもAZPおよびMZRにてより強く認められた。一方、Csには他の2剤にみられないような精巣上体への直接の障害も推定された。
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