1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671424
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 務 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30180277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 則之 名古屋大学, 医学部, 教授 (00023804)
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Keywords | 蝸牛血流 / 突発性難聴 / 外リンパ瘻 / 突発難聴 / レーザードップラー血流計 / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
昨年度からひき続き、外リンパ瘻の疑いにて鼓室開放術を行った症例にレーザードップラー法により蝸牛血流の測定を行った。昨年度の症例と合わせて全部で9症例となった。使用したレーザードップラー血流計(アドバンス社ALF21)は外径が1.7mmで送光ファイバーと受光ファイバー間の距離が1.0mmのものである。プローブ先端は蝸牛の外側壁に近いところにあてた。中耳粘膜血流からの入力をなくすためにプローブの先端があたる部分の中耳粘膜は除去したが、この部の骨壁を削ることはしなかった。蝸牛血流の反応性をみるために二酸化炭素により蝸牛血流が変化するかどうかを観察した。局所麻酔により手術した症例では息こらえによる呼吸停止やカルボ-ゲンの吸入を行い、全身麻酔で手術した症例では呼気の二酸化炭素濃度を二酸化炭素センサーでモニターしながらしばらく呼吸を停止させた。9例全例において摶動成分を伴う血流が確認された。我々が用いた機種では血流の単位がm1/100g/minで表示されるが、蝸牛血流はこの単位で最低2.6、最高11.0、平均4.2であった。息こらえが2分近く行えた1例とカルボ-ゲン吸入を行った1例で蝸牛血流の10%から30%程度の上昇が認められたが、他の例ではこのような負荷により蝸牛血流のはっきりとした変化は認められなかった。レーザードップラー血流計は、血流を相対的な変化としてとらえるため、血管の反応性をみるために良い条件負荷をみつけなければならないが、今回の研究から二酸化炭素の蝸牛血流への影響ははっきりせず、他の条件たとえば岬角電気刺激とか温度刺激などの方が、蝸牛血管の反応性をみるには適していると考えられた。
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[Publications] Nakashima T,Yanagita et al.: "Comparative study on sudden deafness by two nationwide epidemiological surveys in Japan" Acta Otolaryngol(Stockh). Suppl.514. 14-16 (1994)
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[Publications] 森崎博伸,中島務,柳田則之: "脳循環・代謝改善剤の蝸牛血流への影響" 日耳鼻. 97. 1393-1405 (1994)
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[Publications] 中野靖子,内田育恵,中島務,柳田則之: "名大における低音障害型感音難聴" Audiology Japan. 37. 132-135 (1994)
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[Publications] 中島務,田辺勉,柳田則之: "突発性難聴の疫学調査" Otology Japan. 4. 142-145 (1994)
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[Publications] 中島務: "マイクロスフェア法による蝸牛血流の測定" Otology Japan. 4. 241-246 (1994)
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[Publications] 中島務: "外リンパ瘻" 耳鼻臨床. 87. 1608-1609 (1994)