1994 Fiscal Year Annual Research Report
前庭-自律反射系における視床下部・小脳核・孤束核ニューロンの応答とその相互連関
Project/Area Number |
05671434
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井之口 昭 九州大学, 医学部, 講師 (90193622)
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Keywords | 前庭自律反射 / 視床下部 / 孤束核 / カロリック刺激 / 電気刺激 / モルモット / 電気生理学 / ニューロン応答 |
Research Abstract |
回転刺激をモルモットに連続的に与えると63%の後視床下部ニューロンにおいてその自発放電頻度が変化した。回転周期に同期した活動は示さなかった。カロリック刺激を加えると60%のニューロンが応答を示した。またカロリック温刺激で興奮するものはカロリック冷刺激でも興奮し、温刺激で抑制されるものは冷刺激でも抑制された。温刺激と冷刺激では迷路のリンパ流は反対になることが知られており、前庭神経核などの中枢路においても両刺激の反応の方向性は逆となることが多い。この点で後視床下部ニューロンのカロリック刺激に対する反応は特異的といえる。視床下部室傍核ニューロンでは血圧を測定しながら同様の実験を行ったところ、血圧変動を示した場合にはニューロン活動も変化するとが多く、血圧が変化しない場合はほとんどのニューロンでその活動変化を認めなかった。このことは前庭刺激を加えた際には、代表的な自律神経出力である血圧と室傍核ニューロンの活動との間には密接な機能的連関があることを示している。また、室傍核ニューロンのこの反応は70%の例でH_1ブロッカー静注により減弱あるいは消失したが、H_2ブロッカー静注ではほとんど変化しなかった。このことは前庭-自律反射系の情報伝達はH_1レセプターを介しており、抗ヒスタミン薬の抗動揺病効果は中枢性であることを示唆している。前庭刺激に対する孤束核ニューロンの応答は現在着実に得られつつあるが、その応答様式はおおむね興奮性であった。
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[Publications] 井之口昭,小宗静男: "めまい" medicina. 31. 674-676 (1994)
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[Publications] A.Inokuchi,F Liu,T.Uemura: "Effects of stimulation of the vestivular nuclei on posterior hypothalamic neuron activity in guinea pigs" Eur Arch otorhinolaryugol. 251Suppl.1. S23-S26 (1994)
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[Publications] 井之口昭,劉飛,小宮山荘太郎: "モルモット後視床下部ニューロンに対する前庭刺激の効果" 耳鼻と臨床. 40. 885-892 (1994)