1995 Fiscal Year Annual Research Report
前庭-自律反射系による視床下部・小脳核・孤束核ニューロンの応答とその相互連関
Project/Area Number |
05671434
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井之口 昭 九州大学, 医学部, 講師 (90193622)
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Keywords | 前庭自律反射 / 視床下部 / 脳幹 / カロリック刺激 / 小脳核 / モルモット / 電気生理学 / ニューロン応答 |
Research Abstract |
1)カロリック刺激に対する迷走神経背側核ニューロンの応答は検討した例の70%において興奮性であり、その反応も同側および対側刺激で同様であった。 2)視床下部室傍核ニューロンはカロリック刺激に対して興奮性あるいは抑制性に応じるが、これらの反応は前庭神経切断または前庭迷路破壊によってほぼ消失することから、これらの反応は前庭由来のものであると判断された。またH_1ブロッカー静注によって70%の例でその反応が減弱・消失あるいは逆転し、H_2ブロッカー静注では、50%が反応減弱をきたした。このことは前庭神経核から視床下部へ前庭情報が上行する過程で前庭情報処理に脳内ヒスタミン作動系が関与していることを示唆している。 3)代表的な自律神経出力である血圧変動と室傍核ニューロンの活動とはカロリック刺激時に密接な関係を持つことが判明したが、視床下部前部・中部を電気破壊するとカロリック刺激を加えても血圧変動はほとんど認められなくなった。このことは前庭-自律反射の遂行には視床下部が不可欠であることを示している。また小脳室頂核を電気破壊前後にカロリック刺激を加え、血圧変動を比較したが、両者間には有意の差異を認めず、前庭-自律反射の発現には前庭神経核から脳幹網様体を介して視床下部へ上行する経路が最も重要であると考えられた。
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[Publications] 井之口 昭,小宗 静男: "めまい" medicina. 31. 674-676 (1994)
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[Publications] A.Inokuchi,F.Liu,T.Uemura: "Effects of stimulation of the vestibular nuclei on posterior hypothalamic neuron activity in guinea pigs" Eur Arch Otorhinolaryngol. 251 Suppl.1. S23-S26 (1994)
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[Publications] 井之口 昭,劉 飛,小宮山 荘太郎: "モルモット後視床下部ニューロンに対する前庭刺激の効果" 耳鼻と臨床. 40. 885-892 (1994)
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[Publications] F.Liu,A.Inckuchi,S.Komiyama: "Neuronal responses in the nypothalamic paraventricular nucleus to vestibular stimulation in the guinea pig" Eur Arch Otorhinolaryngol. (in press).