1994 Fiscal Year Annual Research Report
反応性官能基を有する感温性ポリマーを用いたアイオマ-セメントの研究
Project/Area Number |
05671640
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
楳本 貢三 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (40097275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 茂昭 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20104333)
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Keywords | アイオノマーセメント / 機械的性質 / 耐水耐久性 / 感温性ポリマー |
Research Abstract |
本研究は、アイオノマー系合着材の耐水耐久性の向上を目的として行った。一つは、従来マトリックスレジンとして使われてきたポリカルボン酸のような水溶性のポリマーとは異なる疎水性のポリマーの応用である。もう一つは、マトリックスレジンとして使われるポリマーとして生体温度以下で水溶性であり、それ以上の温度で水に対し不溶性となる感温性ポリマーを用い、歯質との反応性を損なわずセメント硬化体の耐水耐久性を計った。すなわち、セメント練和および装着時には水溶性で歯質との反応性をもち、硬化後体温で水に不溶性のセメント硬化体となる。 その結果、疎水性(親油性)であるスチレン-ブタジエン-アルキルアクリレート(SBA)、あるいは部分的にカルボキシ化したSBA系のポリマーは、歯質、金属およびガラスなどへ接着性を示すとともに、金属同志の接着では水中保存においても接着強さが増加して行くことが認められた。また、感温性ポリマーをマトリックスポリマーとして用いた場合、従来のセメントに比べ、その圧縮強さは若干劣るものの、破壊形態は従来のセメントと異なり、脆性破壊しない。また、従来のセメントは、水がなくなると表面に亀裂を生じ脆くなるが、本ポリマーを用いたセメントは、空気中に放置してもほとんど亀裂を生じない。歯科材料としての応用とは別に、本研究で得られたポリマーは、分子中のアクリル酸とN-イソブチルアクリルアミドの組成を変えることにより、感温する温度を約28℃から35℃まで任意に変えることでき、その応答性も良好であり、温度センサーなどのスイッチング材料としての応用が期待される。さらに用いるモノマーの分子設計により広い温度範囲へ拡張できるだろう。
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