1993 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病および骨粗鬆症に対するインプラント食立に関する研究
Project/Area Number |
05671647
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
権田 悦通 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (70066992)
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Keywords | インプラント / 糖尿病 / 骨粗鬆症 / SDラット / コラーゲン線維 / グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
基質の主要成分であるコラーゲン線維やグリコサミノグリカンは、破壊された骨組織において、その組織修復後の過程に多量に出現し、修復の主役を演じることから、歯科インプラントと骨組織の生体親和性の指標となる。本研究では、SDラットに糖尿病を誘発させ、その大腿骨にチタンインプラントを埋入し、組織修復過程を週齢を追って検索したものである。検索の指標は、コラーゲン線維としては、I型とII型のコラーゲン、グリコサミノグリカンとしては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ゲルマタン硫酸ならびにケラタン硫酸である。その結果、正常ラットでは、1.インプラント埋入部の壊死、膿瘍、インプラント排出などの異常所見は認められなかった。2.埋入後2週で軽度の炎症性細胞の浸潤をともなう線維性結合組織の介在ならびに結合組織内での線維骨形成が認められた。埋入後1ケ月では炎症性細胞の消失および新生骨形成の進行が認められた。埋入後3ケ月では線維骨の層板化が進行し、6ケ月では、インプラントと骨組織が直接接触していた。3.埋入後1週でヒアルロン酸がみられ、2週でコンドロイチン硫酸がみられた。さらに、3週でデルマタン硫酸とI型コラーゲンがみられたが、II型コラーゲンはみられなかった。また、グリコサミノグリカン量は、2〜3週で量的にピークを迎え、その後減少し、6ケ月では正常骨組織と同様の構成状態であった。糖尿病ラットでは、10%程度の壊死し、膿瘍の形成がみられた。また、組織像は全体として、正常ラットより3〜7日程度の遅れがみられたが、3ケ月以降は、ほぼ同程度の経過をたどった。糖尿病に対するインプラント治療は一般的に不適当とされているが、糖尿病の程度あるいは、十分なコントロールによっては、インプラントの応用も十分可能であることが示唆された。なお、骨粗鬆症に関する実験は、平成6年度に行う予定である。
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