1993 Fiscal Year Annual Research Report
生体必須微量金属の動態に着目した新しい脳機能画像診断薬の開発
Project/Area Number |
05671837
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
武田 厚司 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90145714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 昌二 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40046256)
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Keywords | 亜鉛 / マンガン / 神経調節因子 / 必須微量金属 / 血液脳脊髄液関門 / ドパミンニューロン / 脳機能解析 |
Research Abstract |
本研究は脳機能の核医学的画像化に対して全く試みられていなかった必須微量金属のトレーサーを用いて、その機能解析を目指したものである。すなわち、脳内で亜鉛(Zn)は神経調節因子として機能し、記憶にも関与していると考えられている。Znが脳内の恒常性維持に働き、神経機能に関与するためには脳内に移行する必要があると考えられる。本研究では^<65>Znを用いて、正常ラットならびに黒質-線条体系のドパミンニューロンを変性させたラットにおいて、Znの脳内動態を検討した。また、神経系における機能がほとんど明らかにされていないマンガンについても^<54>Mnを用いて検討した。 ^<65>Znと^<54>Mnをラットに静注し脳内各部位への分布をバイオイメージングアナライザーを用いて検討した。その結果、これらのトレーサーは脳室内の脈絡〓(血液脳脊髄液関門)を介してゆっくりと神経組織に集積することを見いだした。実際にZn、Mn等が血液脳関門ではなく血液脳脊髄液関門を主に通過して脳内に取り込まれる可能性をマイクロダイアリシス法を利用したトレーサーの脳室内投与により現在さらに検討している。 また黒質-線条体系ドパミンニューロンを変性させるため6-OHDAをラット脳内の黒質に投与し、^<65>Zn及び^<54>Mn静注後の脳内分布を調べた。その結果、^<65>Znは黒質に高く分布した。一方、Mnは黒質周辺部に高く分布したが、溶媒のみの投与でも同様な分布であった。これらの結果より、Znはドパミンニューロンの伝達機能に関与していることが考えられる。
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