1994 Fiscal Year Annual Research Report
言語聴覚障害児・者の言語獲得学習に関する諸条件の解明
Project/Area Number |
05801037
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
森 寿子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40239611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 邦子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50258266)
藤野 博 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (00248270)
吉岡 豊 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (70240249)
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Keywords | 就学前聴覚障害児 / 聴能訓練法 / 言語学習条件整備用チェックリスト / 音声言語の発達 / 9歳の壁打波 / 予後予測 |
Research Abstract |
平成5年と平成6年度の両年度にまたがって,病院あるいは学校(ろう学校・難聴学級・普通学校)のいずれかで言語訓練や教育を受けている聴覚障害児延べ106例を追跡調査し,言語学習条件整備用森式チェックリスト(以下チェックリスト)作成とその使用手引きを作成した。本研究の目的は次の2点であった。第1点は,聴覚障害児にとって必要な言語学習条件を就学前の早期に整備するためのチェックリストを作成し,チェックリストで設定した項目(言語学習条件)の妥当性を検討すること。第2点は,チェックリストでは聴覚障害の重症度に応じて下位項目別に得点を設定し,得られた総得点によって就学時までに「9歳の壁」を打破できるほどの言語能力を獲得させうるかどうかを予測したが,その予後評価表としての妥当性の有無を検討すること。研究の結果,次のことが確認できた。第1点については,本チェックリストで設定した下位項目は概ね妥当であったが,今回の研究で訓練や教育によって継時的に変化する項目と変化しない項目があることが明らかとなった。第2点については,チェックリストで設定した得点によって3歳時点および6歳時点のいずれでも,その子が将来「9歳の壁」に突き当たるかどうかを約80%の確率で予測できた。但し,次の点については留意してチェックリストを使用する必要があった。(1)本チェックリストで最も高い精度でその子の将来を予測できるのは60dBHL〜100dBHLまでの聴覚障害児であった。(2)60dBHLまでの難聴児と101dBHL以上のろう児,進行性難聴児,先天性奇形による伝音性難聴児,125〜500Hzの低音域で20〜40dBの残聴のある高音急墜型難聴児については注意して使用する必要があった。以上の結果を1冊の冊子にまとめ,言語学習条件整備用森式チェックリストならびにその使用の手引き書として出版刊行予定である(学会等への発表はその後の予定)。
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