1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05807017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加納 良男 岡山大学, 医学部, 助手 (70116200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 浩一郎 岡山大学, 医学部, 助手 (50229788)
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Keywords | 長生き因子 / 非分裂細胞 / クローニング / 神経細胞 / cDNAライブラリー / 発現ベクター / アポトーシス / 高齢化社会 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトの非分裂細胞の長生き因子遺伝子をクローニングし、今後の高齢化社会問題の軽減に役立つことを目的とする。平成6年度は主として神経細胞を用い、長生き因子遺伝子の作用機構を解析し以下の結果を得た。 1、長生き因子遺伝子の探索 遺伝子クローニングはデファレンシャルハイブリダイゼーション法によって行った。ヒトの正常脳細胞や線維芽細胞等のcDNAライブラリーの比較検討を行なった結果、平成6年度に得られた1.5kbのサイズを持つ長生き因子候補遺伝子(els-1)は、神経細胞にも線維芽細胞にも有効な長生き因子の候補遺伝子である可能性が考えられた。 2、長生き因子蛋白質の作用 長生き因子蛋白質が神経細胞の生存に及ぼす作用を調べるため分化誘導処理をした神経細胞を用い2つの方法を試みた。第Iの方法としては、els-1DNAを大腸菌の発現ベクターに組込み大腸菌でつくらせた長生き因子候補蛋白質を直接培地に添加してみた。結果はしかしながら、神経細胞の生存に変化を与えなかったのでels-1蛋白質は分泌性因子としては働いていないということが示唆された。第2の方法では、動物細胞発現ベクターに組込みこんだels-1DNAを神経細胞に導入し細胞内でつくらせた長生き因子候補蛋白質の作用を調べたところ、els-1DNAを導入したものは対照プラスミドに比べ、神経細胞の大幅な培養日数の延長が観察された。 3、長生き因子とアポートシスとの関連性 動物細胞発現ベクターに組込みこんだels-1DNAを神経細胞や正常線維芽細胞の代りに癌細胞に導入したところ、対照プラスミドに比べ、導入効率が非常に低いことがわかった。この結果は、長生き因子遺伝子は癌細胞に対しては細胞の生存よりはむしろ抑制的に働き、アポトーシスを引き起こす作用があることが示唆された。 以上の結果els-1は正常な非分裂細胞を長生きさせる作用をもっていることが示唆され、今後トランスジェニックマウス実験によって、els-1が動物の寿命延長にも働くことを期待している。
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Research Products
(1 results)