1993 Fiscal Year Annual Research Report
母性行動とプロラクチン受容体発現制御機構に関する研究
Project/Area Number |
05807219
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Research Institution | Mie Nursing College |
Principal Investigator |
坂口 けさみ 三重県立看護短期大学, 講師 (20215619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 邦夫 三重大学, 教授 (40022800)
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Keywords | プロラクチンケセプター / 肝臓 / 腎臓 / 性ステロイドホルモン |
Research Abstract |
プロラクチンは、単に哺乳動物の乳汁分泌作用を示すのみでなく、広く保育行動・浸透圧調節等に関与するホルモンである。その標的臓器に存在するプロラクチンレセプター(PRLR)mRNAは、臓器、性差あるいは各種の性ステロイドホルモンにより発現量の異なることが報告されている。今年度私達は、ラット腎臓及び肝臓におけるPRLRmRNA分子種の解析と性ステロイドホルモンに対する誘導の有無について検討した。ラットの各臓器からtotal RNAを抽出し、Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction(RT-PCR)法によりPRLR cDNA断片を増幅し、合成プローブを用いたSouthern hybridization法によりPRLR mRNAを定量した。ラット腎臓及び肝臓におけるPRLR mRNAの発現レベルをみると、腎臓における発現はメスよりもオスにおいてやや高く、一方肝臓ではオスにおいては非常に発現量が低いのに対してメスでは高い発現レベルを認めた。そこで成長発育に伴う各臓器のPRLR mRNAの発現動態をみると、メスでは成長に伴いPRLR mRNAの発現レベルが増加していくのに対して、オスでは除々に減少した。メスラット腎臓では性成熟後にそのレベルが減少していくのに対して、オスでは発育に伴い除々に増加した。性ホルモンによる発現誘導をみると、肝臓ではエストラジオールがPRLR mRNAの発現を誘導し、テストステロンがその発現を抑制した。また腎臓では逆にエストラジオールがその発現を抑制した。以上、ラット腎臓及び肝臓におけるPRLR mRNAの発現は性ホルモンによりparadoxicalに調節されていることが明らかとなった。
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