1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05835017
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Research Institution | Sakuyo Junior College |
Principal Investigator |
馬淵 久夫 作陽短期大学, 音楽科, 教授 (30011498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 良光 東京国立文化財研究所, 保存科学科, 化学研究室長 (40082812)
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Keywords | 三角縁神獣鏡 / 〓製鏡 / 鉛同位体比 / 青銅 |
Research Abstract |
平成5年度は、福岡県および岡山県の〓製鏡に焦点を絞って錆試料を収集した。 まず、弥生式小形〓製鏡については、福岡県の小都市・筑紫野市などから出土したもの6面、岡山県の赤磐群山陽町・岡山市から出土したもの4面と、計10面の資料について調査し錆試料を採取できた。古墳時代の〓製鏡については、福岡市・春日市などから出土した珠文鏡・獣形鏡・内行花文鏡・捩文鏡など12面、山陽町・備前市などの古墳から出土した珠文鏡・獣形鏡・内行花文鏡・鳥獣鏡など24面、計36面の資料を調査した。このように、本研究が測定を目指す‘150面の〓製鏡'の約1/3の資料を収集し、数の上では順調なペースで初年度が経過したが、三角縁神獣鏡問題で一つの焦点になる〓製三角縁神獣鏡の試料が一面も収集できなかったことは悔やまれる。その原因は、三角縁神獣鏡の多くが国立博物館に収蔵されていることによるもので、それらの調査は次年度の課題にしたい。 鉛同位体比測定の方は、質量分析計のマシンタイムの関係で、3月中旬で約半数の測定しか終っていないが、4月中には測定を完了する予定である。測定したもので見る限りでも、弥生式小形〓製鏡と古墳出土〓製鏡は鉛同位体比が明瞭に違っているが、さらなるデータの蓄積が必要である。 試料収集の際に、2面の舶載鏡(うち1面は三角縁四神獣鏡)の試料も入手できた。また、本報告書作成中(3/18)に、京都府の竹野群と中群にまたがる大田南5号墳から「青龍三年」銘の方格規矩四神鏡の出土が新聞に報道されている。この資料も本研究の目的に密接に関係するので、次年度に測定できるよう努力したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 馬淵,久夫: "東アジアの土器・青銅器の保存化学的研究" 学術月報. 46(2). 19-24 (1993)
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[Publications] 馬淵,久夫: "青銅器の鉛同位体比の解釈について" 古文化談厳(九州古文化研究会). 30(F). 1143-1154 (1993)
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[Publications] 金,正耀,chase,馬淵,久夫: "戦国古幣的鉛同位素比値研究" 文物(中国北京,文物出版社). 8. 80-89 (1993)
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[Publications] 馬淵,久夫: "同位体比で遺物の産地を探る" 第21回日本アイソトープ・放射線総合会議論文集. A6. 2-12 (1994)
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[Publications] 山崎,一雄,室住,正也,馬淵,久夫: "椿井大塚山出土土鏡の化学成分と鉛同位体比" 樋口隆康『三角縁神獣鏡総鑑』新潮社(付編), 1-16 (1992)
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[Publications] 馬淵,久夫: "青銅器-鉛同位体比による産地同定" 日本第4紀学会編第4紀試料分析法-2東京大学出版会, 13 (1993)