1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05835026
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Research Institution | Gangoji Institute for Research of Cultural Property |
Principal Investigator |
川本 耕三 財団法人 元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (10241267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 哲也 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (80261212)
尾崎 誠 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (50224209)
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Keywords | キレート剤 / 青銅 / 除錆 / フッ素-アクリル系共重合樹脂 |
Research Abstract |
1.キレート剤による出土青銅製品除錆処理後の遺物内薬剤残留 前年度より精度を上げ(約10倍)紫外分光光度計による測定をした。遺物を純水中に浸漬し流水で洗浄することを数回繰り返すと検出限界以下になるが、なおも処理後の遺物表面を観察すると新たな錆が生じることがある。これは処理により遺物表面が鋭敏な状態になったためであると考えた。 2.処理後の遺物表面の安定化 現在青銅製品の保存処理で広汎に行われているベンゾトリアゾールや有機チタネートによる青銅表面の安定化処理は効果的である。それでも不充分な遺物に対しては含浸・コーティングに用いる樹脂を酸素および水蒸気遮断性能の高いものに変更することで新たな錆の発生を抑制することとした。 研究代表者らは最近開発された溶剤可溶型のフッ素-アクリル系共重合樹脂に注目し、Vフロン-液マイルドクリヤー(大日本塗料株式会社)を用いたところパラロイドNAD-10、B-44、B-72、プライマルMV-1(ローム&ハ-ス社)などの現在よく用いられている出土金属製品含浸用アクリル樹脂に較べて前記の性能が高く、代替試料での高湿加速試験でも良好な結果を得た。 3.出土鉄製品の除錆処理 各種の鉄錆について実験を行った。キレート剤単独で除錆を行うことは難しいがある程度までは錆層が脆弱になる。しかし総合的に考えて、物理的手段を併用した除錆処理は物理的手段のみで行う処理と比較して明らかな長所を見いだすことはできなかった。
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