1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05836015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蔵本 由紀 京都大学, 理学部, 教授 (40037247)
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Keywords | 非線形振動子 / 引き込み / 複素Ginzburg-Landauモデル / カオス / 大自由度 / 大域結合 / リアプノフスペクトル / クラスター化 |
Research Abstract |
大域結合をもつ複素Ginzburg-Landau振動子集団の数値解析から、その集団的挙動に関して以下のような新しい事実が見いだされた。 1.広汎な条件下でorder parameterはカオスを示す。 2.このような集団カオスは大別して2種類あり、それらは少数個のクラスターに分裂した集団が示すカオス(タイプA)と、融解したクラスターが示すカオス(タイプB)である。本研究では主として後者についてさらに詳しく解析した。 3.Bタイプカオスにおいては、Lyapunovスペクトルは一般に連続部分と離散部分とから成る。 4.正のLyapunov数が離散部分のみから成る場合(B1タイプ)と、連続部分を含む場合(B2)とがある。 5.B1タイプにおいては、O(N)個の零固有値が存在する。B2タイプに移行すると、これらがすべて正の値をとる。 6.したがってB1タイプは低次元カオスに似ている。しかし、O(N)次元の中立安定な接空間を持つ点においてそれとは異なる。B2タイプは、このO(N)個の中立方向が一斉に不安定化した結果生じる高次元カオスと考えられる。 7.1振動子状態面における分布は、Bタイプにおいては閉じたループ状をなしているが、その動きを追跡すると、B2タイプにおいては折り畳み引き延ばし運動が見られるのに対して、B1タイプにおいてはそれが見られない。 以上のような結果は、大域結合系の大自由度カオスがspatially extended systemのそれと著しく異なるものであることを示しており、重要な発見である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N.Nakagawa,Y.Kuramoto: "Collective chaos in a population of globally coupled oscillators" Progress of Theoretical Physics. 89. 313-323 (1993)
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[Publications] T.Chawanya,T.Aoyagi,I.Nishikawa,K.Okuda,Y.Kuramoto: "A model for feature linking via collective oscillations in the primary visual cortex" Biological Cybernetics. 68. 483-490 (1993)
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[Publications] N.Nakagawa,Y.Kuramoto: "Sigularity of Lyapunov spectrum in globally coupled oscillators" Physica D(Proceedings for the Oji International Seminar on Complex Systems,ed.K.Kaneko). (発表予定). (1994)
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[Publications] 森肇,蔵本由紀: "散逸構造とカオス(講座 現代の物理学)" 岩波書店, 290 (1994)