1994 Fiscal Year Annual Research Report
ハギア・ソフィア大聖堂を中心とする歴史的建築物の劣化現況調査と保存修復
Project/Area Number |
06041013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
日高 健一郎 筑波大学, 芸術学系, 助教授 (30144215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NILAY Lilmaz アヤ, ソフィア博物館, 学芸員
ARAS Neftci イスタンブール工科大学, 建築学部, 講師
ZEYNEP Ahunb イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
FERIDUN Cili イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
METIN Ahunba イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
MUFIT Yorulm イスタンブール工科大学, 建築学部, 教授
青木 孝義 宮城工業高等専門学校, 建築科, 講師 (10202467)
木俣 元一 名古屋大学, 文学部, 助教授 (00195348)
河辺 泰宏 愛知淑徳短期大学, 家政学部, 助教授 (70195139)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 助教授 (90155648)
佐藤 達生 大同工業大学, 工学部, 助教授 (40131148)
加藤 史郎 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40023303)
坂本 順 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90023051)
飯田 喜四郎 愛知工業大学, 工学部, 教授 (80022987)
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Keywords | ハギア・ソフィア大聖堂 / ビザンティン建築 / 写真測量 / 組積造ドーム / モザイク |
Research Abstract |
本年度は、夏期に第1次本調査を、冬期および年度末に次年度第2次調査に向けての予備調査を実施した。1)夏期本調査では、ハギア・ソフィア大聖堂中央ドームのコ-ニスに刻された6世紀の施工線の実測、および堂内の鉄製足場を利用したドーム内面のクラックと表層劣化の記録を目視および写真撮影によって実施した。6世紀の施工線は北側および南側コ-ニス上面に見られるが、これまでその正確な実測はなされていない。この施工線上に、北側で13点、南側で9点の観測点をとり、トータルステーションによるレーザー測距によって各点の空間座標を特定したところ、これまで円弧とされてきたこの施工線が実は楕円弧であることが判明した。今後の考察と調査では、創建時に楕円弧の施工線が描かれたのか、あるいはその後の変位変形によって円弧施工線が歪んだのかを解明して行きたい。2)クラックと表層劣化の記録は、内面に接近できるドーム北東4分の1部分を中心に行った。この調査を通じて、ハギア・ソフィア大聖堂における6世紀、10世紀、およびそれ以降のモザイク装飾の特徴がかなり明瞭に把握できた。また、調査の過程で、ドーム殻をほぼ貫くようにして規則的な位置に設置された多数の陶製円筒についても、北東4分の1部分でそれらの奥行方向の長さ、埋め込み状況、径などを調査した。この陶製円筒の機能は未だ不明であるが、ドームの施工に関わって設けられた可能性が高く、特に奥行寸法はほぼドームの殻厚を与えるので貴重なデータである。3)冬期および年度末の予備調査では、次年度本調査に関するトルコ側研究者との打ち合せ、およびローマ(イタリア)の初期中世建築物の現地調査を行った。ローマの初期キリスト教会堂は主たる研究対象であるハギア・ソフィア大聖堂と美術的、建築的類似点が多く、この予備調査はデジタル・スチール・カメラと温湿度センサーの試行を行うなど、きわめて有効であった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 河辺 泰宏: "ドーム殻に設置された円筒管と中央ドームの形態的特徴について-バキア・ソフィア大聖堂調査報告(その3)-" 日本建築学会大会秋季学術講演梗概集. (1995)
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[Publications] 佐藤 達生: "中央ドーム・コ-ニスの施工線の特徴について-ハギア・ソフィア大聖堂調査報告(その4)-" 日本建築学会大会秋季学術講演梗概集. (発表予定). (1995)