1996 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
06041018
|
|---|
| Research Institution | the Univ.of Tokyo |
|---|
Principal Investigator |
松谷 敏雄 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (30012975)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEMIERE Mari Maiscn de iorient Mediterraneen, Universi, 研究員
田尾 誠敏 東海大学, 文学部, 助手 (90216599)
小口 高 東京大学, 理学部, 助手 (80221852)
赤堀 雅幸 専修大学, 法学部, 講師 (20270530)
小泉 龍人 早稲田大学, 文学部, 講師 (80257237)
黒沢 浩 明治大学, 文学部, 講師
古山 学 日本大学, 文理学部, 講師
西秋 良宏 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (70256197)
|
|---|
| Keywords | シリア / 先史時代 / 土器 / 新石器 / ウバイド / ウルワ / ユ-フラテス川 / 職人 |
|---|
| Research Abstract |
本年も、北シリア、ユ-フラテス湖畔にあるテル・コサック・シャマリ遺跡の発掘調査をおこなった。発掘は2箇所でおこなった。A区はテルの南西斜面、B区は南東部に位置する。4m間隔のグリッドにしたがって、A区で7区画、B区で4区画分の発掘をおこなった。A区では北ウバイド期間(前4000〜3500年頃)の土器工房および保管庫、B区ではポスト・ウバイド期(前3500〜3000年頃)の土器焼き場が見つかった。
この調査によって、当遺跡がウバイド期からポスト・ウバイド期にかけての約1000年の間、一貫して土器製作を主たる生業とする特殊な村落であるらしいことが判明した。特に、ウバイド期の土器保管庫を発見した意義は大きい。それは火災を受けており、多くの物件が室内で原位置を保って残されていた。保管庫には自給自足をはるかに超える100個体以上の完全な土器が安置されていた。また、それらの土器には、文様スタイルやサイズなどにおいて酷似した作品が幾組も含まれていた。つまり、ごく少数の職人によって作られたものらしいのである。詳細な分析によって、職人社会の構成を解明できる可能性がある。
ウバイド期は、メソポタミアで本格的な商業社会、都市社会が成立する直前の時代とされている。テル・コサック・シャマリ遺跡の発掘は、土器生産という経済活動の変化を手がかりとして、そのような社会の成立プロセスを通時的に研究できる貴重な資料を提出したものと考える。
|
-
[Publications] 松谷敏雄: "シリア、テル・コサック・シャマリ遺跡の発掘調査(1995年度)" 『日本中東学会ニュースレター』. 61. 10- (1996)
-
[Publications] 松谷敏雄: "シリアの先史時代遺跡、テル・コサック・シャマリの調査(1993-1994年)" 『平成6年度西アジア史研究のデータベース化に関する総合的研究(第2回西アジア発掘調査報告書)』松本健編. 35-42 (1996)
-
[Publications] 西秋良宏: "シリアの先史時代遺跡、テル・コサック・シャマリ" 『Onroboros』. 1. 12-13 (1996)
-
[Publications] 西秋良宏: "シリア北部、ユ-フラテス河畔の発掘" 『オリエンテ』. 14. 12-20 (1996)
-
[Publications] 松谷敏雄: "シリアの先史時代遺跡、テル・コサック・シャマリの発掘(1995年度調査)" 『平成7年度西アジア史研究のデータベース化に関する総合的研究(第3回西アジア発掘調査報告書)』松本健編. 23-29 (1997)
-
[Publications] 松谷敏雄: "シリア・ユ-フラテス川上流域における新石器文化の研究(4)" 『第27回三菱財団事業報告書平成8年度』. (近刊). (1997)
