1995 Fiscal Year Annual Research Report
揚子江流域における古代水田址に関する農業及び考古学的調査研究
Project/Area Number |
06041087
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤原 宏志 宮崎大学, 農学部, 教授 (40040860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 建祥 南京博物院, 講師
劉 軍 浙江省文物考古研究所, 副院長
湯 陵華 江蘇省農業科学院, 助教授
徐 湖平 南京博物院, 副院長
鄒 厚本 南京博物院考古学研究所, 所長
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 助手 (00253807)
鄒 江石 江蘇省農業科学院, 副院長
中村 慎一 金沢大学, 文学部, 講師 (80237403)
佐々木 章 大分短期大学, 園芸科, 助教授 (60105210)
佐藤 洋一郎 静岡大学, 農学部, 助教授 (20145113)
俣野 敏子 信州大学, 農学部, 教授 (00021080)
岡村 秀典 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (20183246)
柳沢 一男 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (50239802)
西村 康 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター研究室, 室長 (80000488)
工楽 善通 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (00000472)
都出 比呂志 大阪大学, 文学部, 教授 (90025065)
佐々木 高明 国立民族学博物館, 館長 (10031692)
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Keywords | プラント・オパール / 炭化米 / 水田址 / 馬家浜文化 / 河姆渡文化 / 草鞋山遺跡 / 城頭山遺跡 / 東周時代 |
Research Abstract |
1995年度の研究実績 1994年度に続き、1995年11月1日〜12月28日の間、揚子江下流域で新石器時代の水田址探査および発掘調査を行った。今年度の主な対象遺跡は江蘇省:草鞋山遺跡と浙江省:河姆渡遺跡である。 ○草鞋山遺跡 草鞋山遺跡は馬家浜文化中期(B.P.6000)を含む複合遺跡である。1994年までの調査で最下層から馬家浜文化中期の水田状遺構が検出されている。今年度はさらに発掘調査を進め、当時の水田稲作を復元できる試資料を得ることにした。 新たに、300平方mの調査区を設定し、発掘調査を行った結果、1つの区画面積が約3平方mという小型の水田状遺構が3本の列状に連なった形で発見された。これらの水田状遺構の作土層から大量のイネ・プラント・オパールや炭化米が検出された。これらの遺構にともなう形で井戸状の土坑群が発見され、その一部から農具あるいは工具と見られる鋤先(水牛の肩胛骨を加工したもの)、植物繊維で編まれたアンペラなどが検出された。以上のことから、昨年まで水田状遺構と称してきたのを改め「水田遺構」と呼ぶことにした。なお、この遺構は現在確認されている水田遺構のなかでは世界最古のものであり、6000年前に揚子江デルタで始源的な水田稲作が存在した確かな証拠として注目される。 ○河姆渡遺跡 河姆渡遺跡(河姆渡文化期、B.P.8000)における水田遺構の探査を行った結果、遺跡の東部で河姆渡文化期の土層(4m深)からイネ・プラント・オパールが検出される区域を特定した。しかし、この区域は極めて軟弱な地盤のため、発掘するのは難しいと判断された。
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