1994 Fiscal Year Annual Research Report
中南米の寄生虫症,特にグアテマラにおける肺吸虫症の病態生理学的研究
Project/Area Number |
06041099
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
辻 守康 杏林大学, 医学部, 教授 (90033951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VELASKEZ Edm グアテマラ公衆衛生省, マラリア部, 部長
PINTO Mario サンカルロス大学, 医学部, 教授
畑 英一 千葉大学, 医学部, 助手 (00110304)
小林 仁 千葉大学, 医学部, 助手 (80009654)
織戸 康秀 杏林大学, 医学部, 講師 (50185683)
頓宮 廉正 岡山大学, 医療技術短期大学部, 教授 (80032895)
横川 宗雄 千葉大学, 名誉教授 (60009066)
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Keywords | グアテマラ / 肺吸虫 / 中間宿主 / メタセルカリア / 免疫反応 / 集団検診 / 実験感染 |
Research Abstract |
現地の河川で採集した淡水産カニ Pseudothelphusa spp.の内臓と筋肉を検査したところ,肺吸虫メタセルカリアの寄生率はクイラバで56.7%,エスキントラで2.9%,ロスセリトスは0%であった.カニ1匹当りのメタセルカリアの寄生数は最低2匹,最高60匹で平均12.5匹であった.カニにおける寄生部位は肝膵臓が最も多く,陽性カニすべての肝膵臓からメタセルカリアが検出されている.本種メタセルカリアは被嚢しておらず,活発に運動していた.10%温ホルマリン固定の計測で体長は980-1300μm,口吸盤は122×122μmで23μmの1本の穿刺棘を有している.腹吸盤は192×189μmで口吸盤よりは大きい.腸管は太く,大きく蛇行している.排泄嚢は黒色を呈し,腸管の分岐点にまで達している.炎細胞は2[3+3+3+3+3)+(3+3+3+3+3)]=60であった.体表には全体に単棘の小棘が密生している.走査電子顕微鏡で観察すると腹吸盤上の inner papillae は6個で,outer papillae の数は20-30個であった.これら papillae の形態は明瞭であり,ヴェネズエラ産の肺吸虫のそれとは異なっていた.ただメタセルカリアの特徴のみで中南米の肺吸虫の種を区別することは困難であるが,今回得られたメタセルカリアをグアテマラ,メキシコおよび日本でラットとネコに感染実験中であるので,それらから得られる虫卵および成虫の観察結果を加味して種の検討を行う予定である.同時に行った淡水産貝からセルカリアは検出されなかった.なお同地区における住民検診では皮内反応および血清反応の強陽性者が検出されたにも拘らず,今回の検便および検痰では肺吸虫卵陽性者は1名も見いだされなかった.しかし上記のごとくカニからメタセルカリアが多数検出されていること,および問診でカニの生食経験者が多数いることから,肺吸虫感染者は存在するものと推察される.
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[Publications] TONGU,Y.et al: "Morphological features of larval stage of Venezuelan Paragonimus." Japanese Journal of Parasitology. 39. 343-350 (1990)
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[Publications] NOYA,O.G.et al: "Morphology of Paragonimus adult worms from Venezuela." Japanese Journal of Parasitology. 41. 1-9 (1992)
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[Publications] TONGU,Y.et al: "A survey of Paragonimus rudis in the Rio Guapore,Brazil." Japanese Journal of Parasitology. 42. 438-439 (1993)
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[Publications] 頓宮廉正,ほか: "グアテマラ産肺吸虫の形態" 寄生虫学雑誌(補). 44. 126- (1995)