1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06041117
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 悠男 国立科学博物館, 人類研究部, 室長 (90049221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AZIZ Fachroe バンドン地質研究開発センター, 研究官
JACOB Teuku ガジャマダ大学, 医学部, 教授
楢崎 修一郎 群馬県立歴史博物館, 学芸課, 研究員
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (90141986)
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Keywords | ジャワ原人 / 人類化石 / 形態学 / 頭蓋 / 化石成分分析 / 年代分析 / 出土層準判定 / 人類進化 |
Research Abstract |
ジャワ原人化石の模型作成・復元・観察・計測などの形態学的研究は、以下のように行われた。まず、頭蓋の復元はピテカントロプス8号について予定通り完成した。また、歯の精密模型も作成した。次に、観察・計測は8号だけでなく、約5点の原人化石資料についても行なった。その結果、8号頭蓋は、きわめてよく膨隆した頬骨と突出しない口蓋を持つために顔面が平坦なこと、また頚の筋肉が化石人骨中最大に発達していることがわかった。歯の大きさについて、時代的変化と関係がありそうなデータが得られ、検討中である。 現地での新化石資料の収集に関しては、調査の終了近くになって、好運にもサンギラン地域で前頭骨化石の良好な資料を得ることが出来た。基本的にジャワ原人としての特徴を備えている点は疑いないが、今までの資料と若干違う点がある。たとえば、眼窩上隆起がよく発達しているにもかかわらず鼻根の窪みが弱い点、前頭骨が比較的薄い点などである。詳しい類縁関係に付いては、今後の精査を待って判断したい。 サンギラン地域における化石資料の出土層準判定には、化石骨に含まれるフッ素含量が従来から有効な指標として知られていたが、本研究に関連して化石骨の少量・微量成分について、ICP分析により定量を行った結果、多くの元素が年代判定の指標となることが示された。これによって多元素による出土層準判定のための、信頼性の高い基準データが作成された。本年度は、サンギラン地域出土の人類化石のうち、いくつかの標本からそれぞれ数mg程度の試料を採取し、ICP分析を行った結果、その層準関係がより明らかにされた。そうした年代学的成果に基づく考察から、ジャワ原人の進化の様相に関する若干の示唆も得られた。
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[Publications] BABA H.,AZIZ F. and JACOB T.: "New Interpretation of Sangiran 17 Skull:Functional and Ecological Aspects." “Man and Environment",Indonesian Society for Medical Polemology. (1995)
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[Publications] MATSU'URA S.,KONDO M.,AZIZ F. and WATANABE,N.: "Chronology of four hominid mandibular fossils newly found from Sangiran and their possible evolutionary implications." “Man and Environment" Indonesian Society for Medical Polemology. (1995)
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[Publications] 馬場悠男,楢崎修一郎,他: "朝日ワンテーマ・マガジン「人間性の進化を解く」" 朝日新聞社, (1995)