1996 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯における野生および栽培稲の伝播および集団の動態に関する研究
Project/Area Number |
06041124
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平岡 洋一郎 (佐藤 洋一郎) 静岡大学, 農学部, 助教授 (20145113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
游 修齢 浙江農業大学, 教授
中井 弘和 静岡大学, 農学部, 教授 (20026610)
ソークラン チトラコン タイ, パトムタニ稲研究所, 部長
米澤 勝衛 京都産業大学, 工学部, 教授 (90026542)
森島 啓子 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (70000247)
福田 善通 農林水産省北陸農業試験場, 主任研究官
佐藤 雅志 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (40134043)
島本 義也 北海道大学, 農学部, 教授 (00001438)
上埜 喜八 東京農業大学, 生物産業学部, 講師 (30223481)
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Keywords | 野生稲 / 栽培稲 / 起源 / 進化 / 遺伝資源 / 自生地保全 / タイ / ラオス |
Research Abstract |
本年度は最終年度に当たるため,補足的調査および,今年度緊急に調査を要した中国における栽培稲の起源に関する情報収集を行った.それらの概要は以下のとおりである. 1.バンコク市周辺に置いた継続調査地点における野生稲の調査,熱帯アジア各地では,現在野生稲の集団の喪失が急速に進行中で,その保護が研究の継続も必要なほど深刻化している.そこで本研究の開始年度に,タイおよびラオスに,計4箇所の継続調査地点を設置した.このうちタイ・プラチンブリ市郊外においた調査地点(タイ王立プロジェクトに採択された)のセットアップおよび調査項目と方法の検討のため,佐藤が11月上半に渡タイした.併せて従来行ってきた継続調査(集団サイズ,生育段階の調査)を行った. 2.ラオスでは国を挙げて遺伝資源の保存に当たっており,野生稲もその対象にされている.本研究計画の一環として,前年までに調査を行えなかった北西部(ホウエイサイ周辺)の調査を行った.ここでは,従来その存在が知られていなかった多年生型野生稲(O.rufipogon)の集団を3つ発見し,野生稲の空白地帯がひとつ埋った. 3.中国ではここ2,3年の間に発掘調査が急ピッチで進行し,今までに知られていなかった事実が次々と発見されている.中でも数千年前の野生稲種子発見の報告は稲の起源に関する知見を書き換える可能性すらある.そこで中国における最近の稲作遺跡からの出土遺物の検討と研究連絡のため,今年度緊急に中国調査を行った.中国研究者との情報交換および遺物の検討の結果,約8000年前に長江の中流域で稲の最初の栽培化が始まった可能性が示唆された.
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