1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06041125
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
村井 康彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (00077455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 俊樹 国際日本文化研究センター, 研究部, 助手 (50260055)
井上 章一 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (40135603)
小野 芳彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (20126022)
白幡 洋三郎 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (10135543)
園田 英弘 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50027562)
セルチュク エセンベル ボスポラス大学, 助教授
飯田 経夫 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70022449)
山折 哲雄 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40102686)
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Keywords | 日本文化 / 生活文化 / イスラム文化圏 / 文化の受容 / 文化の普及 / 伝統文化 / 近代化 / 西洋文明 |
Research Abstract |
イスラム文化圏は1つの強固な文化のかたまりを育しており、ここに日本の生活文化がどのような形で受容されるかは、強いまとまりをもった文化相互の浸透という面で大変興味深い。とくに今年度調査したトルコはすでに明治時代に日本の近代化に注目しており、親日家の多い国として、日本の生活文化の需要程度が高いと予測していた。しかしながら、高度な工業技術が生みだした製品、例えばテレビ・ラジオ・自動車・家庭電化製品などはむしろ地理的な位置を反映してとくにドイツを中心とするヨーロッパのものが数多く入っていた。むしろ日本の生活文化関連の工業製品の浸透は少なかった。一方、伝統的な日本の生活文化の中では茶道・華道もやはりそれほどの普及を見せておらず、わずかに柔道・空手などどの道場が開かれ、武道の普及はかなりの程度がみられた。これは必ずしも親日国とはいえないモロッコにおいても事情は同じであり、やはり、すでに調査をすすめてきた西洋先進国やラテン文化圏において日本の生活文化の受容がかなりみられるのと大いなる違いであった。 現在イスラム文化圏の多くは、イスラム教の生活規範をつよく残した生活文化を保持しており、他の文化圏の生活文化を受容するすきまをあまりもっていないことが第一の原因と考えられる。また第二に生活の利便性を生活規範の重要な一部とする近代社会をつくりあげるための近代化政策が広く社会一般に浸透しておらず、その点で近代西洋文明の利便性を物象化し、制度化したような日本の生活文化に対する関心や欲求がうすいことが原因としてあげられよう。 とくに強固なイスラム的伝統を保持しているイラン・イラクを調査できなっかったため、広くイスラム文化圏に共通する他文化受容の姿勢を一般化できないが、少なくともより近代化をめざした国における日本生活文化の受容が上に述べた程度であることから、まざましい受容は予想できないであろう。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] SHIRAHATA YOZABURO: "Information Studies of Tourist Resources" Senri Ethnological Studies. 38. 51-63 (1995)
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[Publications] 園田英弘: "西洋化の構造" 思文閣出版, 350 (1994)
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[Publications] 飯田経夫: "泣きごとを言うな-反輿論的資本主義論" NTT出版, 205 (1994)
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[Publications] 山折哲雄: "お迎えのとき-日本人の死生観" 祥伝社, 231 (1994)
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[Publications] 白幡洋三郎: "近代都市公園史の研究-欧化の系譜" 思文閣出版, 340 (1995)