中国における環境水および水蒸気中同位体濃度の全国規模調査と解析

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06044097
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 池辺 幸正 名古屋大学, 工学部, 教授 (50023073)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 王 作元 衛生部, 工業衛生実験所, 教授 ; 金 益和 福建省, 放射衛生防護所, 副教授 ; 任 天山 衛生部, 工業衛生実験所, 教授 ; 永峰 康一郎 名古屋大学, 工学部, 助手 (10242843) ; 加藤 喜久雄 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (00022616)
• Keywords: 環境水 / 水蒸気 / 安定同位体 / 中国 / 酸素18 / 重水素 / 分布 / 緯度効果

Research Abstract

1.同位体効果を生じない実用的な水蒸気中同位体サンプリング技術を確立した。中国ではドライアイスの入手が困難なので、液体窒素を冷却剤とするcold trap法を用いることとし、冷却法、ガラス補集管の形状、最大流量、補集系等を、同位体効果が生じていないことを確認しながら定めた。
2.この補集器材を中国に搬送し、現地で水蒸気中同位体サンプリングを実施しながら補集法を伝えた。1月に中国4機関(北京・福州、南州、長春)で同時に10日間、冬季の水蒸気中同位体サンプリングを実施した。
3.既存の環境水の安定同位体濃度の中国側測定結果によると、北京の雨水のδD値は-20から-90%まで巾広く変動している。これは試料数をなるべく多くしてその平均値をみる必要性、サンプリング地点をふやす必要性を示唆している。
4.上記の情況をふまえて現存の中国側環境水試料を補足する追加サンプリングを福州、貴陽、武護、南州、北京、上海、長春、内豪古の8地点で秋季より実施している。
5.現在までに得られた測定地による知見は次の通りである。なおδO値とδD値の間には一定の関係が認められることを確認したので、環境水のδO値としてまとめている。以下は予備的知見であるが、
(1)沿岸部のδO値は大きい(那覇、福州、上海、煙名、名古屋、円東)。内陸部および高緯度のδO値は小さい(南州、西京、チチハル、ハルピン、札幌など)全体として、緯度効果と内陸効果が認められる。(2)札幌の降水について温度効果、那覇の降水について雨量効果が認められた。
6.今後、試料数をふやして同位体比の分布と変動を明確にしてゆく必要がある。