1996 Fiscal Year Annual Research Report
社会主義企業「民営化」の進行状況と問題点-東欧諸国における比較研究-
Project/Area Number |
06044155
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
材木 和雄 広島大学, 総合科学部, 助教授 (70215929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿 岩 内蒙古自治区社会科学院, 経済研究所, 所長
丘 海雄 中山大学, 社会学系, 副教授
TADEUS BORKO ヤギエオ大学, 社会学研究所, 教授
JOSIP OBRADO ザグレブ大学, 哲学部, 教授
油井 清光 神戸大学, 文学部, 助教授 (10200859)
高井 康弘 大谷大学, 文学部, 助教授 (00216607)
石倉 康次 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40253033)
秋葉 節夫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90192905)
森田 憲 広島大学, 経済学部, 教授 (10133795)
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Keywords | 市場経済化 / 民営化 / ポーランド / 国有企業改革 |
Research Abstract |
本年は、2つの問題を研究した。1つは、ポーランドの民営化の進行状況と問題点であり、もう1つは、中国の市場経済化に伴う労働市場と労務管理の変化である。 まずポーランドで明らかにされた事実は、国有企業の民営化が期待された効果をあげていないことである。民営化の目的は、いうまでもなく経済効率の改善であるが、我々はその成果を検証することができなかった。たとえば、工業部門に偏った産業構造は是正されていないし、いくつかの指標によれば、私有部門は公有部門よりも経営効率が下回っていたのである。その理由として我々は2つの問題を提示した。その1つは、資本不足のために、企業規模が小さく、効率的な経営が展開できなくなっていることである。もう1つは、そもそも既存の国有企業を民営化して経営効率を上げようという試み自体に限界があることである。経済効率を上げるためには新規企業の創設を促進する必要があり、そのためにも政府は資本不足の問題を解決しなければならない。 次に中国は、改革開放政策のもとで、労働力管理の市場経済化を徐々に推進してきたことが明らかになった。まず1985年に労働契約制が導入され、企業は政府の指定する配分枠の範囲で自由に従業員を募集・採用できるようになった。また賃金も企業レベルである程度決定できるようになった。しかし、ポーランドと異なって、経営効率の点で、中国の国有企業は民間企業に大きく劣っている。我々は2つの原因を指摘した。1つは、国有企業の経営に対する政府の規制と監督が依然強いこと、もう1つは、従業員の社会保障費の負担が国有企業の経営を圧迫していることである。これらは、国有企業にとって大きなハンディであり、民間企業に市場競争力で劣る原因になっている。国有企業の負担軽減のため、中国は最近「社会保険」方式の社会保証の導入を始めた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 森田憲: "改革の政治経済学:ポーランドの改革をめぐって" 経済学論叢(広島大学経済学部). 20巻. 1-15 (1997)
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[Publications] 森田憲: "ポーランドの市場経済体制移行-「バルツェロビチ・プログラム」をめぐって-" 国際協力研究誌(広島大学大学院国際協力研究科). 3号. 1-13 (1997)
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[Publications] Zaiki,Kazuo(材木和雄): "Chinese Way of Raforming Enterprise System-Characteristic in Compartison with East European Reform" 広島平和科学(広島大学平和科学研究センター). 19巻. 205-215 (1997)