1995 Fiscal Year Annual Research Report
変容するアジアと日本-経済・政治・国際関係・文化のダイナミズム
Project/Area Number |
06044204
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
五十嵐 暁郎 立教大学, 法学部, 教授 (90097220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WUN'GAEO Sur チュラロンコーン大学, 政治学部, 教授
RAFAEL Vicen カリフォルニア大学, サンデイエゴ校・コミュニケーション学部, 助教授
FIELD Norma シカゴ大学, 人文科学部, 教授
MOLASKV Mich コネチカットカレッジ, 日本語日文学部, 助教授
CHUNGーMOO Ch カリフォルニア大学, アーバイン校・東アジア文化学部, 助教授
ADAMS Robert 上智大学, 文学部, 専任講師
篠原 初枝 恵泉女学園大学, 人文学部, 専任講師 (30257274)
倉田 秀也 常葉学園富士短期大学, 国際教養学部, 専任講師 (90225243)
中逵 啓示 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (30183081)
村嶋 英治 政蹊大学, 文学部, 教授 (70239515)
比屋根 照夫 琉球大学, 教養部, 教授 (10045172)
見田 宗介 東京大学, 教養学部, 教授 (10012345)
とつ 照彦 名古屋大学, 経済学部, 教授 (60089977)
野村 浩一 専修大学, 法学部, 教授 (80062529)
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Keywords | 東アジア / 'Japanization' / 日本 / 沖縄 / タイ / シンガポール / 大衆文化 / 韓国 |
Research Abstract |
1995年6月27日から28日までの2日間中間報告会を開催した。1994年度に行なった現地調査結果をもちよると同時に、仮説にそって報告を行なった。東アジア全体の社会に広がり浸透している日本の大衆文化の実態とその影響力、そしてこの現象の意味を明らかにしようとするものである。 中心となるテーマ"From'Americanization to 'Japanization'inh East East Asia!?"はここ数年、冷戦の終焉と各地域の経済発展によって東西・南北の境界線が融解して新たな時代に突入した東アジアを分析する興味深い切り口として各方面から関心をもたれてきた。参加者は、当該研究メンバーのほかに、韓国、台湾、シンガポール、インドネシアとアジアの研究者が中心となり、しれに企業関係者と立教大学の何人かのメンバーも加わりほぼ東アジアの主要国をカバーした。 まず、タイのチュラロンコーン大学・スリチャイ教授がプラザ合意以後の円高下におけるタイでの日本の大衆文化の浸透ぶりと影響力を分析した。五十嵐は今回のテーマについていくつかの仮説や論点を提示し、続いてすでに提出されたペ-パ-を中心に各論に入った。 学際的な色彩が濃いものだったが、東アジア国際経済の第一人者である名古屋大学の冫余照彦教授は台湾を中心に「ジャパナイゼーション」の経済的な背景を解説した国際問題研究所・倉田秀也氏と政蹊大学・村嶋英治教授はそれぞれ韓国の政治体制とタイの近代化に及ぼした日本の「先例」の影響を報告して、テーマの歴史的な幅の広さを明らかにした。立教大学・郭洋春助教授と台湾の作家・陳映慎氏は日本の植民地支配と重なるジャパナイゼーションとアメリカナイゼーションの問題を論じた。都立大学・鄭大均教授は韓国と日本の外来文化の受容における共通した性格を論じ注目され、専修大学・野村浩一教授や立教大学・戴国火軍教授による熱のこもったコメントを行なった。 ナンヤン工科大学・ウィー・ワンリン助教授はシンガポールを中心にジャパナイゼーション現象をアジアと欧米の文化対立といった広い視角や消費文化についての興味深い理論から論じた。フィリピンの作家チャールソン・オン氏はジャパナイゼーションとアメリカナイゼーションの影響を、自身の小説を引用して感動的に結んだ。広島大学・中逵啓示助教授はアメリカのアジア諸国に対する人権外交、立教大学・服部孝章教授は国際的なマスコミの影響力という、それぞれ重要な背景を論じた。 またこのテーマについて興味深い例は沖縄であった。沖縄は近代以後、ジャパナイゼーション、アメリカナイゼーション、そして再びジャパナイゼーションという歴史を経ながら、独自の文化を基盤に混合文化の可能性を示しているように思われる。コネティカット大学・マイケル・モラスキー助教授、インドネシア大学・バクティアル・アラム助教授、琉球大学・比屋根照夫教授がそれぞれ戦後文化人類学、近代史の角度から論じた。 以上の報告に対して、立教大学・後藤昭次教授、シカゴ大学・ノーマ・フィールド教授、東京大学・見田宗介教授明治学院大学・加藤典洋教授東横学園短期大学・ロバートアダムス講師、恵泉女子大学篠原初枝講師らが、それぞれ多様な学問分野から刺激的なコメントを行なった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 五十嵐 暁郎: "長い歴史を長い目で読む" 外交フォーラム. 86. 41-53 (1995)
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[Publications] 中逵 啓示: "利益誘導型基地運動の登場" The Journal of Pacific Asia 2. 39-81 (1995)
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[Publications] 中逵 啓示: "A Profit-Oriented Transfer Movement and Why the Iwakuni Military Base Offshore Transfer was so "Successful"" The Journal of Pacific Asia 2. 36-78 (1995)
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[Publications] 倉田 秀也: "North Korea's Proposal of the 'New Peace Arramgement' in the International Context" Korean Journal of Defense Analysis. (近刊).
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[Publications] Robert Adams: "対立する世界の統一" The Journal of Pcific Asia 2. 123-148 (1995)
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[Publications] Robert Adams: "To Unite a Wold of Difference" The Journal of Pacific Asia 2. 113-134 (1995)
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[Publications] 五十嵐 暁郎: "新・アジアのドラマ-ポスト冷戦・高度経済成長の光と影-" 潮出版社, 316 (1995)
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[Publications] 冫余 照彦: "台湾からアジアのすべてが見える" 時事通信社, 253 (1995)
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[Publications] 比屋根 照夫: "アジアへの架橋" 沖縄タイムス社, 289 (1994)
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[Publications] 比屋根 照夫: "戦後沖縄の思想像" 社会評論社(近刊),