1994 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
06044224
|
|---|
| Research Institution | National Institute of Polar Research |
|---|
Principal Investigator |
内藤 靖彦 国立極地研究所, 研究系・教授, 研究主幹 (80017087)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WASSMANN Pau トロムソ大学, 水産科学学科, 研究員
ELVEBAKK Arv トロムソ大学, 生物地学研究所, 助教授
WIELGOLASKI フランスエミル オスロ大学, 植物研究所, 教授
中坪 孝之 広島大学, 総合科学部, 助手 (10198137)
増沢 武弘 静岡大学, 理学部, 教授 (40111801)
柏谷 博之 国立科学博物館, 植物研究部, 室長 (10000142)
小島 覚 富山大学, 理学部, 教授 (80115138)
伊野 良夫 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30063697)
伊村 智 国立極地研究所, 研究系, 助手 (90221788)
工藤 栄 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター・, 助手 (40221931)
神田 啓史 国立極地研究所, 資料系, 助教授 (70099935)
大山 佳邦 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (30044788)
福地 光男 国立極地研究所, 研究系, 教授 (80099936)
|
|---|
| Keywords | 北極 / スピッツベルゲン / 生態系 / 氷河末端域 / モレーン / 蘚類 / 地衣類 / パイオニア植物 |
|---|
| Research Abstract |
ノルウェーとの共同研究として,北極の高緯度地域に位置するスバールバル諸島のスピッツベルゲン島において,環境変化によってもたらされた生態系の変動の実態を把握する目的で3年間の研究計画が作られた。平成6年度は植生の構成と分布に主眼が置かれ,目的とする植生図の作成のための資料,データが得られた。平成7年度の土壌環境と生理生態学研究のための基礎となる調査が予定通り行われた。また,現場の調査に加えて,共同研究としてオスロ大学,トロムソ大学,ノルウェー極地研究所の研究者と相互に連絡,調整をとり,結果の考察,次年度の計画について打ち合わせを行った。当該年度は以下のいくつかの課題について研究実績があった。氷河末端域のモレーン帯において,どのような植物がどのように分布しているかはほとんど解っていない。調査の結果,氷河末端から約50メートルほど離れたモレーン上に数種の蘚類が初めて現れ,これらはパイオニア植物として考えられた。これらに対して種子植物は100メートル過ぎると出現し,地衣類の出現はむしろ遅いことが明らかになった。さらに,氷河の後退によってどの環境条件が変化し,生物に直接・間接的に影響を与え得るかについて調査を行った。チョウノスケソウの優占した群落は安定した均質な群落に見えるが,今回の調査から数種の識別種が見いだされ,7個の小群落に区分することができた。また,それぞれ立地の違いや土壌中の窒素量などの化学性に違いが見られた。また,パイオニア植物として考えられているユキノシタ科の植物は,なぜ土壌が未発達で貧栄養である氷河後退直後のモレーンに最初に出現することができるのかという課題については,Saxifraga oppositifoliaは氷河後退後の時間の経過とともにその分布を広げ,同じ環境に生育していたラン藻やコケ植物と密接な関連があることが示唆された。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Minami,Y.: "The relationship bitween distribution of bryophytes and soil condition on arctic deglaciated terrain in Ny-Ålesund." Proc.NIPR Symp.Polar Biol.No.8. (1995)
-
[Publications] Elvebakk,A.: "A botany basend bioclimatology map of the Truelove area,Devon Island,arctic Canada." Proc.NIPR Symp.Polar Biol.No.8. (1995)
-
[Publications] Kanda,H.: "Vegetation at the deglaciated terrain in Spitsbergen Island:Overview." Proc.NIPR Symp.Polar Biol.No.8. (1995)
-
[Publications] Wielgolaski,F.E.: "Adaptation in plants exemplified by transplantation studies at two latitudes." Proc.NIPR Symp.Polar Biol.No.8. (1995)
-
[Publications] Kanda,H.: "Vegetation on the moraine of the glacier foreland in Spitsbergen Island." Proc.NIPR Symp.Polar Biol.No.8. (1995)
-
[Publications] Kibe,T.: "Growth of two Carex species in Spitsbergen Island." Proc.NIPR Symp.Polar Biol.No.8. (1995)
-
[Publications] Matuzawa,t.: "Saxifraga oppositifolia at the deglaciated terrain." Proc.NIPR Symp.Polar Biol.No.8. (1995)
-
[Publications] Saigusa,S.: "Periglacial process and vegetation around Ny-Ålesund,Spitsbergen." Proc.NIPR Symp.Polar Biol.No.8. (1995)
