1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06045041
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永武 毅 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30164445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
アジマ ブンチョウ チェンマイ大学, 付属病院中央検査部, 主任
プラシット タラヴィチク チェンマイ大学, 付属病院中央検査部, 助教授
チラ シリサンタナ チェンマイ大学, 医学部, 学部長
小林 忍 長崎大学, 医学部付属病院, 助手 (10274656)
苑田 文成 長崎大学, 医学部付属病院, 助手 (50264239)
田尾 操 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (80187913)
渡辺 貴和雄 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20220874)
大石 和徳 長崎大学, 医学部付属病院, 講師 (80160414)
力富 直人 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (70175032)
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Keywords | タイ国 / 急性呼吸器感染症 / 市中肺炎 / HIV陽性患者 / ヘモグロビン値 / 喀痰検査 / 混合感染 / カリニ肺炎 |
Research Abstract |
タイ国を含む東南アジア地域では主要な死因の一つとして肺炎をはじめとした急性呼吸器感染症があげられる。今回我々はタイ国チェンマイ市ナコンピン病院において市中肺炎で入院した肺炎患者について検討した。対象は平成7年12月27日から平成8年1月31日までの約1カ月間に入院した男性27名、女性5名の計32名の肺炎患者である。平均年齢は男性37.9才、女性50.6才であった。男性27名のうち25名にHIV検査が施行され17名(68.0%)が陽性、女性5名のうち4名にHIV検査が施行され2名(50.0%)が陽性で、全体では65.5%が陽性で、特に20代30代の若い年代層に高い割合であった。HIV陽性患者19名のうちヘモグロビン値が測定された14名中13名に貧血が認められ、ヘモグロビン平均値は9.3g/dlであった。32症例のうち31症例に喀痰検査が施行され、21症例に起炎菌が検出された。そのうち単独菌感染は14症例、複数菌感染は7症例であった。単独菌感染では肺炎桿菌が3例と最も多く、以下ブドウ球菌、緑膿菌、結核菌がそれぞれ2例ずつであった。複数菌感染では結核菌と一般細菌との混合感染が3例で最も多く、次いでインフルエンザ菌と肺炎桿菌の混合感染が2例であった。初期治療として約半数に2系統の薬剤(たとえば抗真菌剤と抗結核剤)が使用され、最多の組み合わせは抗生物質と抗真菌剤で、5例に使用されていた。予後では治癒が12.5%、改善傾向が62.5%で、25%には改善が認められず、改善が認め難い症例にはHIV感染者が多かった。なお、期間中死亡した4名は全員HIV感染者であった。今回の研究の問題点として入院時に速やかに胸写を撮り、治癒前に喀痰検査が実施出来るように指導すること、カリニ肺炎や真菌性肺炎の診断法を指導する必要性が判明した。
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