1994 Fiscal Year Annual Research Report
内皮細胞分化調節遺伝子の心臓発生、分化に対する役割
Project/Area Number |
06274229
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
川名 正敏 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20152978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 健一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70232395)
日台 智明 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70228732)
上田 みどり 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10184938)
木全 心一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40101860)
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Keywords | 内皮細胞 / 心内膜 / 心臓発生 / 血管発生 / ディスコイディン |
Research Abstract |
内皮細胞の分化や血管発生における分子生物学的機序を明らかにする目的で、胎生早期に血管内皮細胞に特異的に発現し、心臓・血管の分化、発生を調節する遺伝子のクローニングを行った。 SPARC遺伝子promoter-lacZ reporter遺伝子が挿入されたtransgenic mouseの系の中に、lacZ発現が胎生早期の内皮細胞のみに見られる系が見出された。この系では偶然にも、transgeneが内皮細胞の発生分化の早期に厳重に制御されて発現する遺伝子の存在する染色体遺伝子座位(del-1: developmentally-regulated endothelial cell locus-1)に挿入されていることになり、このdel-1は内皮細胞の発生、分化の調節に極めて重要と考えられる。我々はdel-1遺伝子をtransgenic mouseのgenomic libraryのスクリーニングから開始して、transgene挿入部位のflanking sequenceの同定、さらにexon trapping、mouse embryonic cDNA libraryのスクリーニングによりdel-1 cDNAの全長をクローニングする事に成功した。Del-1は胎生早期(8.5d pc)ではblood islandに存在する内皮細胞とpaired dorsal aortaの内皮細胞、胎生中期(9.5-11.5d pc)ではすべての血管内皮細胞及び心内膜、半月弁のみに特異的に発現し、胎生後期にはその発現は減少して肺内の新生血管内皮細胞のみとなり、adultではすべての細胞で消失していた。Del-1のsequence解析により、Del-1にコードされる蛋白はcoagulation factor Vの膜結合domain及び変形菌などの細胞付着を制御するdiscoidin-like domainとhomologyの高いdomainを有する蛋白であることが明らかになった。Del-1は内皮細胞分化の早期に特異的に発現し、内皮細胞間のcell attachmentを調節して心臓・血管の発生を制御する新しい遺伝子であると考えられる。
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