1995 Fiscal Year Annual Research Report
認知機能の成立・崩壊過程に関する心理学的・障害学的研究
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06301011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河内 十郎 東京大学, 教養学部, 教授 (30083710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大六 一志 東京大学, 教養学部, 助手 (10251323)
丹野 義彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (60179926)
望月 登志子 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (70060671)
鳥居 修晃 誠心女子大学, 文学部, 教授 (50015012)
鹿取 廣人 帝京大学, 文学部, 教授 (80012300)
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Keywords | 相貌失認 / 潜在的認知 / 開眼受術者 / 自閉症児 / 発達遅滞児 / モ-ラ意識 |
Research Abstract |
本年度も、各班がそれぞれに多くの研究成果をあげたが、主要なものは以下のとおりである。 *脳損傷者班:相貌失認患者に関しては、患者が顕在的には認知できない熟知顔貌を未知顔貌との対に対する既知判断と嗜好判断の2種の強制選択法を施行し、潜在的認知が嗜好判断の場合のみに認められることが明らかにした。また、緩徐進行性失行症の分析から、従来の失行分類に当てはまらない失行症の存在を捉え、各種行為障害の出現機序を説明するモデルを提唱した。 *開眼受術者・弱視者班:9歳の時に先天性白内障の開眼手術を受けて15年近くが経過している女性を対象に、透視図的線画の知覚と陰影の立体効果を調べ、前者は立体として知覚することができず2次元図形の合成として捉えていること、後者の場合は陰影をしみの様な物として捉え、立体効果が全く生じていないことを明らかにした。 *発達遅滞班:自閉症が、自己発信・自己受信という自己内循環的閉鎖系コミュニケーション(S型)にとどまり、自己と他者の間の2方向性の解放系コミュニケーション(T型)が発達しないとする仮説のもとに、複数の自閉症児にS型コミュニケーションの優位性を壊し、T型を成立させる療育的研究を進め、T型の形成を通じて、認知世界の自発的分化、秩序化、統合化が進められ、それがさらにT型の発展を促進して他者との相互関係の強化、自己の安定化をもたらすことを明らかにした。また、読みの習得が遅れている発達遅滞児に読みの訓練を行った教育的研究では、モ-ラ意識が、個々の仮名文字を呼称できるための必要条件ではなく、文字列の意味を理解できるための必要条件であるという、従来の通説とは異なる事実を明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 河内十郎: "脳損傷にみる意識" 科学. 64. 255-263 (1994)
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[Publications] 河村 満: "構音障害" Brain Medical. 6. 33-37 (1994)
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[Publications] 河村 満: "失行の総括的機序" 神経研究の進歩. 38. 533-539 (1994)
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[Publications] 大六一志: "モ-ラに対する意識はかな文字の読み習得の必要条件か?" 心理学研究. 66. 253-260 (1995)
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[Publications] 河内十郎: "脳損傷に対するコミュニケーション障害" 電子情報通信学会科学技術報告. HC94-80. 33-40 (1995)
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[Publications] 小田浩一: "文字認知の閾値と読みの閾値" Vision. 7. 165-168 (1995)
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[Publications] 河内十郎: "脳卒中後のコミュニケーション障害" 協同医書出版社, 324 (1995)