1995 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会の動態分析のための社会理論の再審と新しい理論的枠組みの構築
Project/Area Number |
06301018
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
北村 寧 福島大学, 行政社会学部, 教授 (10097454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 修一 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (00220541)
伊坂 青司 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (30175195)
松田 純 静岡大学, 人文学部, 教授 (30125679)
湯田 勝 福島大学, 行政社会学部, 教授 (10100984)
小林 一穂 東北大学大学院, 情報科学研究科, 助教授 (20150253)
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Keywords | 社会理論 / マルクス主義 / 人間と自然 / 物象化 / 階級 |
Research Abstract |
平成6年度は本研究の初年度であるので、研究グループ全体として一定の共通した了解に達するため、各メンバーが問題関心や見解を自由に発表し、全メンバーで自由に討議することに重点を置いた。 平成7年度は、各メンバーの自由な研究発表を基本としながらも、マルクス主義の社会理論と何らかの形で接点をもつようにテーマ設定して研究会活動を行った。研究報告のテーマは、「山崎純『神と国家』の検討」、「マルクスの物象化論再考」、「ドイツの大学と社会科学研究」、「エンゲルスの「階級闘争史観」の検討」、「イリイチのテキスト論」、「ロマン派の有機体-国家論」などである。いずれも、現代日本社会の理論的把握のために内外の社会理論を批判的に検討するという観点に立った問題提起的報告であった。 研究グループ全体として共通の見解に到達しているわけではないが、マルクスの物象化論については、それが近代ブルジョア社会把握の重要な柱であること、その理論的射程が社会構造全体に及ぶかどうか検討の余地があることを確認した。エンゲルスの階級闘争史観については、これが「発展法則」観に基づくエンゲルス独自のもので、マルクスの歴史観とは異なること、エンゲルスの史観が通説的マルクス主義理論の基盤になっていることなどを確認した。これ以外の研究発表を含めた研究会活動を通じて、通説的マルクス主義理論の問題性を明らかし、それを批判的に克服する理論の方向性について検討した。
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[Publications] 北村寧: "「自然史的過程」の通説的理解にたいするエンゲルスの理論的影響" 行政社会論集. 第8巻第4号. 31-65 (1996)
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[Publications] 小林一穂: "行為と時代認識の社会学" 創風社, 216 (1995)