1995 Fiscal Year Annual Research Report
比較女性史の視点からみた江戸時代における武家及び庶民の家族に関する総合的研究
Project/Area Number |
06301042
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
大口 勇次郎 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (00017112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 徹 , 助教授 (00199952)
新井 由起夫 , 助教授 (30193056)
吉見 映子 湘南国際女子短大, 国際教養学科, 助教授 (60159233)
菊地 慶子 聖和学園短大, 国文科, 講師 (00258782)
鈴木 ゆり子 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (50196888)
浅倉 有子 上越教育大学, 学校教育部, 助教授 (70167881)
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Keywords | 家族 / 女性史 / 介護 / 地域 |
Research Abstract |
武家、庶民、比較の3班に分かれ資料収集、整理とその分析に当たり、中間報告として以下の研究成果を得た。 まず日本の家族については、菊地慶子が江戸時代における病人に対する家族や地域による介護の問題について論文を発表した。特に、盛岡藩など大名の家臣たちが、両親ら家族の病気の際に藩当局に届出て休暇が与えられる事実を明らかにした。浅倉有子は、江戸時代における美人意識について考察し、近世後期に至り地域の成立とともに、女性の風俗習慣を含めて、中央の美意識とは異なる独自の美が認識されると主張する。 大口勇次郎は、「女性のいる近世」を著した。ここでは、武家の女性の生涯を検討するとともに、旧稿の農村女性の相続・労働・財産等の実情と、生き方をめぐって問題を提出した。最近の近世女性史の動向についても批判と検討を加えた。この内容をめぐっては研究分担者の中からも研究の視角・方法について論議を呼んでいる。 外国史の立場からは、新井由起夫がイギリス中性における家族の問題を扱った「15世紀のプランプトン家と結婚」という論文を出し、三浦徹は、十字軍時代にパレスティナからダマスクスに移住した一家族の軌跡と、同家の活動による郊外の街区の形勢の過程を明らかにした論文を、外国雑誌に発表した。
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[Publications] 菊地慶子(ペンネ-ム柳谷): "武家社会の「看病断」について" 日本歴史. 573号. 60-78 (1996)
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[Publications] 菊地慶子(ペンネ-ム柳谷): "日本近世における家族・地域の扶養介護" 岩本由輝他編『家族と地域社会』(早稲田大学出版刊). (1996)
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[Publications] 吉見映子(ペンネ-ム大森): "杉山善左衛門略歴-岡山藩における新規雇用家臣の性格" 湘南国際女子短大紀要. 2号. 1-35 (1995)
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[Publications] 浅倉有子: "「国風」の美" 小玉美意子他編『美女のイメージ』(世界思想社刊). 148-176 (1996)
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[Publications] 新井由起夫: "15世紀のプランプトン家と結婚" 樺山紘一編『西洋中性像の革新』(刀水書房刊). 351-372 (1995)
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[Publications] 三浦徹: "The Salihiya Quarter in the Suburbs of Damascus:Its Formation,Structure,and Transformation in the Ayyubid and Mamluk Periods." Bulletin d'Etudes Orientales(Damas). 47. 129-181 (1995)
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[Publications] 大口勇次郎: "女性のいる近世" 勁草書房, 292 (1995)