1994 Fiscal Year Annual Research Report
インド・チングルプット県の生産・環境と社会:18-20世紀の長期変動
Project/Area Number |
06301071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 悠 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20046121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 博司 名古屋大学, 国際開発研究科, 助教授 (20230427)
高橋 孝信 四天王寺国際仏教大学, 文学部, 助教授 (10236292)
水島 司 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語研究所, 助教授 (70126283)
重松 伸司 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (20109242)
辛島 昇 大正大学, 文学部, 教授 (10014466)
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Keywords | インド / 社会経済史 / 長期変動 / 農村社会 / 土地所有 / 農村工業 / 寺院 / 生態環境 |
Research Abstract |
1.バーナード報告や土地台帳の電算機へのデータ入力作業は7月より開始し、全体の大きさに比してまだ初歩的であるが進展した。1871年以降のチングルプット県村落センサスの電算機への入力も進捗をみた。また、関連資料・及び図書を購入し、マイクロフィルム資料については、その焼付け作業を進めた。 2.1995年1月に南インドタンジャーヴ-ル市のタミル大学で開催された第8回タミル学国際会議において、本研究分担者のうち5名(辛島・柳沢・水島・高橋・山下)が特別講義・パネル討論及び研究発表の形で研究成果を発表した。また、日本の国内で3回にわたって研究会を開催した。 3.これらの発表を通じて、南インド社会の次の側面を明らかにした。 (1)南インドには古くからナ-ッタールと呼ばれた人々がいたが、これらの役割が13世紀から16世紀の間にいかに変化したかを明らかにして、この間の地域社会の変動に関連づけた。さらに、1770年代のバーナード報告からも、地域社会の歴史的変動を後付けることができる。これに関連する1770年代以降の資料が大量に存在しており、個々のナ-ッタールのその後の変化を追跡することも可能であり、今後の課題である。 (2)1920.30年代の南インドでは、農村小工業・加工業の展開が見られるが、その背景には、農村の階層関係の変化によって引き起こされた下層民層の消費構造の転換があった。 (3)タミル社会の一つの基底をなす宗教意識も不変でなく、そのあり方は歴史的に大きな変化を遂げてきたことが、様ざまの寺院調査からあきらかとなる。諸寺院の経済的基盤も歴史的に変化してきたが、これらの点は今後の資料分析から明らかにされよう。
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