1995 Fiscal Year Annual Research Report
国語科教育改善のための国語能力の発達に関する総合・実証的研究
Project/Area Number |
06301094
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大槻 和夫 広島大学, 教育学部, 教授 (60033544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 隆春 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (90210533)
牧戸 章 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (40190334)
植山 俊宏 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (50193850)
位藤 紀美子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (80027713)
吉田 裕久 広島大学, 教育学部, 助教授 (80108373)
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Keywords | 国語科教育 / 国語能力 / 発達 / 説明的文章 / 文学作品に対する反応 / 文章表現能力 / 対話能力 |
Research Abstract |
平成7年度は、前年度の研究を踏まえて、国語科各領域の国語能力の発達に関するモデルを構築するための予備調査を実施し、その調査結果を分析した。明らかになったのは次のような点である。 1.テクストを読む力は、問題構造概念形成力・コード解釈力・推論解釈力・結束性形成力・既有知識力・意欲のモジュール構造をなしている。つまり、これらの諸力が独立しながらも相互に関連を持つという構造をなしている。とりわけ、説明的文章の読みの発達において問題構造概念形成力が大きな比重を占めている。 2.文学作品に対する子どもの反応において優勢なスタンスは、学齢の上昇に伴って〈参加者〉的なものから〈観察者〉へと変容する。これは、読みの推移の生成の深化と相関がある。 3.文章表現能力の発達には、子どもの側の「精緻化・拡張化機構」が深く関与している。「精緻化・拡張化機構」の解明のためにはA課題意識の強化B相手意識の強化C遊びの焦点化」D修辞意識の強化、等の項目についてさらに考察を行っていく必要がある。 4.音声言語、とくに対話展開力の発達に関して、学年の進行に伴い、相手発話と自己の発話を統合し、より複雑な受け答えが可能になるという実態が明らかにされた。また、社会性を伴った発言方略を自らの対話能力としていく筋道を明らかにしていく必要があり、そのためには、協同で問題を解決する対話イメージを獲得するための学習体験が必要であることを指摘した。 さらに今後の課題として、各研究領域班の発達に関する仮説を統合していくためのモデルを作成する必要がある。本年度末には、発達心理学・認知言語学・国語教育学各々の専門家を招いて、平成7年度までの研究成果を検討するための公開研究会を開催した。さらに、平成7年度までの研究成果を集約した中間報告書(B5版158頁)を作成した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 三浦和尚: "中学校文学教材における「第三の書く」-今江祥智「竜」を中心に-" 愛媛国文と教育. 27. 15-22 (1995)
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[Publications] 難波博孝: "コード解釈と推論解釈(1)" 両論. 15. 113-122 (1995)
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[Publications] 難波博孝: "コード解釈と推論解釈(2)" 両論. 17. 5-18 (1995)
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[Publications] 山元悦子: "中学生の対話心理を踏まえた「対話学習」を求めて" 福岡教育大学国語科研究論集. 36. 10-28 (1996)
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[Publications] 山元隆春: "読むという出来事を誘う力-〈誤読〉の豊かさについて-" 日本文学. 45-1. 49-57 (1996)
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[Publications] 植山俊宏他編: "国語教育を学ぶ人のために" 世界思想社, 338 (1995)