1994 Fiscal Year Annual Research Report
在日外国人集住地区のコミュニティとその住環境整備に関する研究
Project/Area Number |
06302058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Co-operative Research (A)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
リム ボン 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (10202409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 元夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (90140326)
三村 浩史 京都大学, 工学部, 教授 (50025912)
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Keywords | 不良住宅地区 / スクォッター / 在日韓国・朝鮮人 / NGO / 住環境整備 |
Research Abstract |
JR京都駅の南に、かってスラムと称された京都市南区東九条地区がある。東九条地区のさらに南部、鴨川と高瀬川の合流点に至る約500メートルの二重堤防に沿って「松ノ木地区」がある。住民のおよそ8割が在日韓国・朝鮮人で占められる当地区は、全国的にみて最大規模の在日韓国・朝鮮人集住地区であり、長い間、「不法占拠(スクォッター)地区」として行政施策の対象外となってきた。高瀬川堤防によって隔絶されているということもあって周辺地域から孤立化し、「0番地という差別的な名称で呼ばれてきた。住民たちは居住地を自ら「松ノ木町40番地」と呼ぶようになった。当地区は1970年代に人口増のピーク(200世帯、600人程度)を迎え、以後は減少を続けている。現在では、総人口もその半分以下になっている。後期高齢層の割合が京都の中でもとりわけ多く、特に一人住まいの高齢者が目立つ。北部の東九条地区においても同じことが言えるが、高齢者対応の適切な福祉施策が求められている。 かねてから住民自治会は当地区の整備を断続的に行政側に要望していたが、1989年、建都1200年記念事業の流れもあって行政側は積極的な姿勢を見せ、地区内での立て替え事業案を打ち出すに至った。こうした対行政交渉におけるパイプ役 -いわばNGO活動- を努めて来たのが地元・外部青年層であった。彼らは住民自治会の組織化を行うばかりではなく、子ども会や夏祭り等のレクリェーション活動の運営を行っており、住環境整備の過程においても少なからぬ影響を及ぼしている。 本年度は上記のような生活実態の調査・分析と住環境整備事業の過程を整理するとともに、青年層の果たしたNGO活動の役割を考察した。また、分析から得られた整備課題をもとに集合住宅設計の可能性についても検討した。
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