1995 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス母子感染の要因と感染児の予後に関する前方視的研究
Project/Area Number |
06304031
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
白木 和夫 鳥取大学, 医学部, 教授 (60010229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 浩司 広島大学, 医学部, 教授 (30109954)
黒木 哲夫 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (30047328)
森島 恒雄 名古屋大学, 医学部, 講師 (90157892)
藤沢 知雄 防衛医科大学校, 講師
松井 陽 自治医科大学, 助教授 (00159146)
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Keywords | C型肝炎 / HCV抗体 / HCV-RNA / 母子感染 / 母児感染 / 垂直感染 / 小児 / 母乳 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)の母子感染は自然の感染経路として重要と推定される。本研究は全国6施設の共同前方視的研究により、HCVの母子感染率・その要因・感染児の予後を明らかにすることを目標とした。 1.6施設において一般妊婦のHCV抗体スクリーニングを行ない、発見されたHCV抗体陽性妊婦は411人であった。これらの妊婦から生まれた児325人の追跡調査で、HCV-RNAが持続陽性となり感染が成立した児は合計17人であった。感染児はすべてHCV-RNA陽性妊婦からの出生児で、HCV-RNA陽性妊婦からの出生児中の持続感染率は平均5.4%であった。施設により2.3%〜10.0%と幅が見られたが10%を越えるものはなく、B型肝炎ウイルスの母子感染率より低率であった。この他、一過性にHCV-RNA陽性となる児や、3歳以降にHCV-RNAが陰性化する例が小数見られ、母子感染によってHCV-RNA陽性となった児の長期予後に関しては長期間の追跡調査が必要である。 2.HCV母子感染の要因に関して検討したところ、次の結果が得られた。 (1)児に感染を起こした妊婦の血清中HCV-RNA量は全てかなり高値を示し、HCV抗体のみ陽性でHCV-RNA陰性の妊婦からの出生児で感染したものは1例もなかった。しかし感染例と同程度の高いHCV-RNA量を示した妊婦の児でも感染しないものが多数みられ、他の要因が加わって感染を成立させているものと考えられた。 (2)HCVのgenotypeと母子感染率には、一定の関係が見られなかった。 (3)血清HCV-RNA量高値の妊婦について浮遊密度分画によって血中HCVの存在状態を検討したが、児への感染の有無とは一定の関係が認められなかった。 (4)出生時の分娩時間、出血量、胎盤重量などと児のHCV感染との間にも有意の関係が認められなかった。 (5)母乳哺育とHCV母子感染とには関係が認められなかった。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 梶俊策,飯塚俊之,長田郁夫,原田友一郎,田中雄二,白木和夫: "HCV感染小児におけるbranched DNA probe assayを用いた血清HCV・RNA量の検討" 肝臓. 36. 115-116 (1995)
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[Publications] 長田郁夫,梶俊策,白木和夫: "C型肝炎ウイルス母子感染の実体" 小児内科. 27. 549-555 (1995)
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[Publications] 長田郁夫,岡本学,梶俊策,飯塚俊之,白木和夫: "C型肝炎ウイルスの感染経路-小児期を中心に-" 肝胆膵. 30. 815-823 (1995)
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[Publications] 長田郁夫,梶俊策,飯塚俊之,白木和夫: "C型肝炎ウイルス母子感染のprospective Study" 小児科診療. 58. 1381-1387 (1995)
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[Publications] 長田郁夫,白木和夫: "HCV母子感染におけるHCV-RNA,HCV-RNA genotype" 日本臨牀. 53. 413-418 (1995)
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[Publications] 長田郁夫,白木和夫: "C型肝炎感染小児における臨床的病理学的特徴"
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[Publications] 白木和夫,藤沢知雄,森島恒雄,松本脩三他: "小児のC型慢性肝炎に対するインターフェロン-α(BALL-1)の臨床効果について" 小児科臨床. 48. 2067-2094 (1995)
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[Publications] 松井 陽: "C型肝炎ウイルス母子感染予防の可能性" Neonatal Care. 8. 1061-1064 (1995)
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[Publications] 尾上昌弘,乾あやの,大川貴司、藤澤知雄: "小児C型慢性肝炎の臨床・病理学的検討-基礎疾患別の自然経過を中心として-" 日本小児科学会雑誌. 100. 31-38 (1996)
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[Publications] Tomoo Fujisawa,Ayano Inui,et al.: "Clinical and laboratory observations" Journal of Pediatrics. 127. 660-662 (1995)
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[Publications] Tomoo Fujisawa,Takashi Ohkawa,et al.: "Effects of interferon therapy on serum hepatitis C virus RNA levels in children with chronic hepatitis C" International Hepatdogy Communications. 2. 316-320 (1994)
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[Publications] Ayano Inui,Tomoo Fujisawa,et al.: "Rapid detection of hepatitis C virus by direct reverse transcription-polymerase chain reaction" International Hepatology Communications. 3. 126-130 (1995)
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[Publications] Ayano Inui,Tomoo Fujisawa,et al.: "Histologic activity of the liver in children with transfusion-associated chronic hepatitis C" Journal of Hepatology. 21. 748-753 (1994)
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[Publications] 西口修平,黒木哲夫,福田勝彦,荻田幸雄,他: "C型肝炎ウイルス感染児の自然経過" 日本臨牀. 53. 828-833 (1995)
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[Publications] T.Moriya,F.Sasaki,H.Yoshizawa: "Transmission of hepatitis C virus from mothers to infants : its frequency and risk factor revisited" Biomed & Pharmacother. 49. 59-64 (1995)
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[Publications] 守屋尚,吉澤浩司他: "C型肝炎の経路をめぐるアプローチ-母子感染" Infection Contror. 4. 164-169 (1995)
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[Publications] 守屋尚,吉澤浩司他: "C型肝炎ウイルスの母子感染" Neonatal Care. 8. 1044-1049 (1995)