1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞特異的な材料設計と遺伝子導入法を利用したスーパーバイオ人工肝臓の開発
Project/Area Number |
06403035
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤池 敏宏 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (30101207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 恵史 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (40231013)
武藤 泰敏 岐阜大学, 医学部, 教授 (20010069)
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Keywords | ハイブリッド人工肝臓 / β-ガラクトース / バイオ人工肝臓 / Fアクチン / 肝細胞 / PVLA / 細胞移動 / リポフェクション法 |
Research Abstract |
現在、重篤な肝不全の患者に対しては、肝臓移植による治療の他に、ハイブリッド人工肝臓の開発に期待が寄せられている。そこで我々は、肝実質細胞(肝細胞)の培養用基質材料として末端にβ-ガラクトースを有するポリスチレン誘導体であるPVLAを開発した。このPVLAをコートしたディッシュ上の培養肝細胞は、生体内と同様に球状形態を維持し、しかも長期間に渡り機能を保持している。また、PVLAのコーティング濃度を希釈していくと、分化機能を発現している球状形態から脱分化した伸展形態へと移行していく。さらに、球状形態を維持している肝細胞に、無血清条件下において、上皮細胞増殖因子であるEGFを高濃度で添加することによって細胞移動が促進され、2日後には約100μm程度の径を有する多層集合体を形成する。しかしながら、肝細胞は低濃度でコーティングしたPVLA上では、多層集合体を形成しない。バイオ人工肝臓の開発における基礎研究として、多層集合体の形成メカニズムを解明する上で、特にEGFによって促進する肝細胞の移動に関して詳細に検討した。とりわけ、細胞移動に重要であると考えられるFアクチンに着目し、EGF刺激後の細胞内Fアクチン量を相対比較した。低濃度PVLA上の肝細胞では、一時的なFアクチンの重合が観察されたが、これとは反対に多層集合体を形成する高濃度PVLA上の肝細胞に関しては、Fアクチンの顕著な脱重合が相対量測定および蛍光顕微鏡下で観察できた。一般に線維芽細胞にみられるFアクチンの重合による突起を利用した細胞移動とは異なり、PVLA上肝細胞はEGF刺激に応答したFアクチンの顕著な脱重合によって、特異な移動をしているものと考えられる。本研究では、さらに本研究の最も重要な特色をなす肝細胞への遺伝子導入法については、リポフェクション法が肝細胞に極めて特異的かつ高効率の方法であることを見い出し、β-ガラクトシダーゼ他、種々の膜タンパク質の肝細胞への発言にも成功した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.KOBAYASHI et al: "Receptormediated Regulation of Differentiation and Proliferation of Hepatocyte by Synthetic Polymer Model of Asaloglycoproteon" J.Biomater.Sci.Polymer Edn,. 6. 325-342 (1994)
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[Publications] N.MATSUSHITA et al: "Induction of Cytochrome P-450s and Expression of Liver-specific Genes in Rat Primary Hepatocytes Cultured on Different Extracellular Matrices" Biosci.Biotech.Biochem.58. 1514-1516 (1994)
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[Publications] M.MORITA et al: "Infammatory cytokines upregulate the ICAM-1 expression on primary cultured mouse hepatocytes and T cell adhesion" Hepatology. 19. 426-431 (1994)
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[Publications] Y.WATANABE et al: "Highly Efficient Transfection into Primary Cultured Mouse Hepatocytes by Use of Cation-Liposomes : An Application for Immunization" J.Biochem.116. 1220-1226 (1994)
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[Publications] Y.WATANABE and T.AKAIKE: "Activation Signal Induces the Expression of B Cell-Specific CD45R Epitope(6B2) on Murine T Cells" Scand.J.Immunol.39. 419-425 (1994)
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[Publications] 後藤光昭,赤池敏宏: "人工臓器1994-1995" 中山書店, 312 (1994)
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[Publications] 赤池敏宏,後藤光昭,小林明,小林一清: "糖鎖と細胞" 日経サイエンス, 151 (1994)