1996 Fiscal Year Annual Research Report
ツツジ類の形態学・生物季節学及びゲノム解析学的手法による遺伝子移入の解明
Project/Area Number |
06404007
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高柳 謙治 筑波大学, 農林学系, 教授 (20251019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹 筑波大学, 農林学系, 講師 (10272155)
半田 高 筑波大学, 農林学系, 講師 (00192708)
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Keywords | ツツジ / 遺伝子移入 / PCR / RFLP / 葉緑体DNA |
Research Abstract |
昨年度の研究で明らかにした葉緑体DNAマーカーの種特異的バンドパターンを用いて、九州全体の野生ツツジ集団及びそこから選抜・育種されたと考えられる園芸品種群での遺伝子移入の解析を行った。 その結果、雲仙山系の野生ツツジ集団では霧島山系と同様に高山域でミヤマキリシマ型葉緑体DNAバンドパターン、低山域でヤマツツジ型パターン、中間帯の雑種集団では両者が混在するパターンとなり、中間帯における高山域からのミヤマキリシマと低山域からのヤマツツジの遺伝子移入が確認された。一方、九重山系ならびに阿蘇山系のミヤマキリシマ集団はいずれもヤマツツジ型のパターンを示したことから、過去にヤマツツジからミヤマキリシマへの遺伝子移入がミヤマキリシマに生じた可能性が示唆された。 さらに、各山系から選抜、育種されたミヤマキリシマ園芸品種群は、それぞれ各山系の野生集団と同じDNAバンドパターンを示し、ミヤマキリシマ園芸品種の起源推定のマーカーとして、本研究で調査したDNAバンドパターンが利用できる可能性を明らかにした。 次に九州地方において園芸品種群の成立に関わったとされるミヤマキリシマとヤマツツジ以外の野生種について前述のDNAバンドパターンを調査したところ、殆どの野生種はヤマツツジ型のパターンを示し、ミヤマキリシマ特殊性が明瞭となった。 また、クルメツツジや江戸キリシマといったミヤマキリシマが関与したと考えられる園芸品種群についても同様にDNAバンドパターンを調べたところ、多くの品種はヤマツツジ型のパターンとなったものの、一部の品種にミヤマキリシマ型のものがあり、これらの園芸品種へのミヤマキリシマの関与が確認された。
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[Publications] Kobayashi,N.et al: "Inheritance of morhological characters and RAPD markers in intersubyeneric hybrids of azalen." J.Japan.Soc.Hort.Sci.(園芸学会雑誌). 65. 145-153 (1996)
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[Publications] Kobayashi,N.et al: "Introgression in Japanese evergreen azaleas." Acta Horticulturae. (印刷中).