Research Abstract |
顎関節症の発症頻度の地域差などを調査するため,平成7年度は北海道の小都市である紋別市と北見市で疫学調査を実施した。平成8年度は沖縄県宮古島で,北海道と同程度の小都市である平良市で調査を実施した。平良市内の幼稚園,小学校,中学校,高等学校の在籍者,計3705名を対象に資料収集を行った。実施した調査は顎関節症の発症頻度,発症原因追究のアンケート調査・顎関節雑音の録音,性格検査(Cornell Medical Index,幼児・自動性格診断検査用紙,矢田部ギルフォード性格調査),さらに全身との関連を追究する重心計による資料収集を行った。現在,各個人のデーター分析が終了し,そのデーターをデーターベースにするようにコンピューターに入力中であるが,一部の資料の処理は終了している。 顎関節症の発症頻度は,北海道の男子18.8%,女子20.9%であったのに対し,沖縄県では男子5.6%,女子9.3%と沖縄県で低値を示した。教育施設別の発症頻度は,北海道の幼稚園7.5%,小学校12.2%,中学校16.0%,高等学校24.9%であった。沖縄県では幼稚園6.0%,小学校5.1%,中学校4.6%,高等学校10.6%であった。一方,鹿児島大学小児歯科外来における顎関節症患者の資料収集は現在も継続して実施している。なお,鹿児島大学医学部小児科と鹿児島赤十字病院との共同研究である若年性関節リウマチ(JRA)患者の研究は,1996年の第6回日本小児リウマチ研究会でMR画像での顎関節部滑膜所見と顎関節症状との間には密接な関連性が認められたことを報告した。さらに,JRA患者のうち顎関節部の滑膜病変を有する9例の中で,血清中No濃度が有意に高値を示す症例が多く,follow-upの必要性が重要であることもあわせて報告した。来年度は,本研究の最後の年であるので,全ての資料を整理し,国際学会(IAPD)平成9年度9月に発表する予定を初め,結果を多くの学会誌に投稿する所存である。
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