1994 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける社会・文化構造の異化過程に関する研究
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06451067
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
足立 啓二 熊本大学, 文学部, 教授 (70128247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 哲男 熊本大学, 文学部, 教授 (90110080)
森 正人 熊本大学, 文学部, 教授 (10106065)
金原 理 熊本大学, 文学部, 教授 (10039977)
工藤 敬一 熊本大学, 文学部, 教授 (50040473)
甲元 眞之 熊本大学, 文学部, 教授 (70072717)
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Keywords | 東アジア / 社会構造 / 共同体 / ネットワーク社会 / 封建制 / 専制国家 / 近代化 |
Research Abstract |
1 本研究の基本的出発点である日・中・朝三国の社会構造の比較研究においては、自律的規範能力を有する共同団体を社会の一般的基礎とする日本社会に対して、中国は周囲に対して影響力を行使しうる個人を中心に目的的・任意的に人々が結集する構造をとっており、朝鮮に於ける団体は、目的任意性と規範形成に於いて、中間的な性質を有していることが明らかになった。 2 このような社会的差異が類型的に明確化するのは、中国に於いては、専制国家型の国家形成期である紀元前2世紀段階、朝鮮に於いては高麗・李朝前期段階、日本に於いては封建制形成の進行する11〜13世紀段階である。自律的共同団体形成という封建社会形成期のメカニズムについてはなお検討中であるが、最終報告書で、一定の見解を提示する予定である。 3 三国の類型が明確化するのは、2で示した時期であるが、本研究では、さらに新石器時代段階の社会構造の比較研究を行ない、中国型社会・国家形成に先行して、その構造形成を規定する社会編成上の規定因子が、既に新石器時代のある時期より形成され始めていたという見通しを得ている。 4 東アジア三国の前近代に於ける社会構造上の差異が、三国に於ける近代経済・近代国家形成に持っていた意義の基本的解明を行なった(足立「中国近代化の政治構造」中村哲編『東アジア資本主義の形成』1994年、青木書店、所収)。 5 文化的諸現象についても、本年度より研究を始め、日本と中国に於いては、文学の扱う対象、創作主体、表現様式等に於いても、社会構造と関わる本質的な差異が存在することなど、幾つかの点が明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 工藤敬一: "領主制論をふりかえる-過去・現在・未来-" 歴史評論. 542. (1995)
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[Publications] 甲元眞之: "古墳時代首長糸譜の類型化" 古墳時代とその伝統. 119-141 (1995)
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[Publications] 森正人: "説話の中の観音-日本におけるイメージ-" しにか. 5-10. 48-53 (1994)
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[Publications] 櫻井哲男: "韓国の民衆芸能・農楽" 自然と文化. 45. 34-41 (1994)
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[Publications] 伊藤正彦: "中国前近代史把握の方法に関する断章-中村哲編『東アジア専制国家と社会・経済』をめぐって-" 新しい歴史学のために. 214. 1-13 (1994)
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[Publications] 伊藤正彦: "元代観農文小孝-元代江南における勧農の基調とその歴史的位置" 文学部論議(熊本大学). 49. 1-27 (1995)
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[Publications] 中村哲: "青木書店" 東アジア資本主義の形成-比較史の視点から-, 230 (1994)