1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06451157
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Research Institution | FUKUOKA UNIVERSITY OF EDUCATION |
Principal Investigator |
南出 好史 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40036934)
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Keywords | 聴覚障害児 / 算数文章題 / 解決過程 / 文法能力 / 眼球運動 |
Research Abstract |
聴覚障害児が算数文章題の解決過程のどこでつまづくのか、そのつまづきが何によっておこるのかを明らかにするために、聴覚障害児と健聴児を対象に、文章題の解決過程に沿った4種類のテストと文法テストを実施した。その結果、次のようなことが明らかになった。(1)文章題の文意の理解力は文法能力と関係があった。(2)問題全体の表象能力は学年差と関係があった。(3)聴覚障害児、健聴児とも、問題全体を表象するときに、同じ表象過程を通過するが、表象誤りをおかす時期がちがっていて、その時期は聴覚障害の有無、文法能力の有無によって決っていた。(4)両者とも、問題全体が表象しやすいのは関係式であり、関係式から実行(計算)過程に変換されて、答が求められていた。 これらの結果が眼球運動に反映されるかどうかを聴覚障害児と健聴者を対に調べた結果、次のようなことが明らかになった。(1)聴覚障害児と健聴者の間に差がみられたのは計算過程における停留点の数のみであった。(2)計算過程の停留点の数に差が出るのは、各文の表象が関係づけられて、問題全体の表象として統合される過程に問題があると考えられたので、関係式、あるいはテープ図の成績によって、聴覚障害児を2群に分け、停留点の数をくらべてみたら、テープ図の成績のよい聴覚障害児の停留点の数が健聴者と差がなかった。このことから、問題全体の空間的表象能力が劣る聴覚障害児の中には関係式に再変換した後実行(計算)するものが多く、結果として停留点の数が多くなることがわかった。
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