1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452065
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石黒 武彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50202982)
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Keywords | ラングミュア・ブロジェット膜(LB膜) / 分子性超薄膜 / 導電性超薄膜 / 非剛体二次元系 / 乱れ構造 / 走査型プローブ顕微鏡 / 分子の規則配列と導電性 |
Research Abstract |
導電性ラングミュアブロジェット膜(LB膜)は分子が一面に並べられた2次元の金属電子系を形成するが温度低下と共に非金属化する。この原因として面内に存在する乱れが挙げられる。本年度は常温常圧下で安定な特性を示すビスエチレンジオキシテトラチアフルバレン(BO)分子とデシルテトラシアノキノジメタン(C_<10>TCNQ)分子より成るLB膜をとりあげ、膜生成のために必要とされるアラキジン酸分子との相対組成を変化させて、導電性、スピン磁化率と共にX線回折及び走査型プローブ顕微鏡による層間方向並びに層内の分子配列構造に関する研究を進めた。その結果、膜は組成・構造の異なる3種の部分の混成構造を有し、それぞれが、BO-C_<10>TCNQより成る金属層、アラキジン酸より成る絶縁体層、両者の混成により中間層より形成されていること、また、局所的な金属伝導は20K付近まで維持されていることが明らかになった。走査型プローブ顕微鏡を手段として各層の面内構造を特定する研究を進めたが結果は、整理途上にある。こうした研究実績を基に、金属層形成にはBO分子の自己配列性が重要な役割を担っていると考えて電子構造を量子化学的に考察し、その特徴を活かせるBO錯体によるLB膜を探索した結果得られたジメトキシテトラシアノキノジメタン(MeO_2)TCNQ分子との錯体から成るLB膜は、従来のものより高い導電性を示しかつ直流的に金属伝導を示す領域が200Kの低温域までに拡大するより顕著な金属伝導性を示すものであることが明らかとなった。
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