1994 Fiscal Year Annual Research Report
準実スケールの雲物理過程実験設備を使った暖かい雨の形成過程の研究
Project/Area Number |
06452081
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
播磨屋 敏生 北海道大学, 理学部, 教授 (90001859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 庸哉 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (60236297)
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Keywords | 立坑実験設備 / 暖かい雨 / エ-ロゾル数濃度 / 凝結核 / 雲粒粒径分布 / エ-ロゾル組成 |
Research Abstract |
雲内での雲粒粒径分布を決定する物理量は何かを求めるために,立坑を用いた雲物理過程実験設備を使って実験を行った.坑底でエ-ロゾルの組成と粒径分布を測定し,他方立坑内に形成された雲の雲粒粒径分布を測定した.その際に流入空気の湿度を上昇させる目的で,坑底でスプリンクラ-で散水する実験も行った. 散水をしない場合(CASE1),散水をしてかつエ-ロゾル数濃度が少なかった場合(CASE2),散水をしてかつエ-ロゾル数濃度が多かった場合(CASE3)のそれぞれ形成された雲粒分布を比較した.CASE1では,ピーク値が直径1μm以下にあるような非常に小さい雲粒しか形成されなかった.CASE2では,ピーク値が直径13μmぐらいで,大きい粒子は直径30μm程度まで成長した.CASE3では,ピーク値が直径8μm程度で,3ケースの中で中間的な大きさであった. 気象条件が違う観測結果から,雲粒決定要因を引き出すために,観測された状態の数値シミュレーションを行った.その結果,次のようなことがわかった.CASE1では,水蒸気量が少なく,かつエ-ロゾル数濃度が多かったので,雲粒が一番小さい結果となった.CASE2とCASE3の水蒸気量を等しくした結果の比較により,エ-ロゾル数濃度の多いCASE3より少ないCASE2の方が大きい雲粒に成長した. 以上の結果をまとめると,エ-ロゾルの組成が同じ粒子を含んだ空気塊の場合,その空気塊に含まれる水蒸気量とエ-ロゾル数濃度が形成される雲の雲粒粒径分布を決めることが示された.実際の雲では,雲の周囲からの乾燥空気の流入等の要因も考慮しなければならないだろう.
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