1994 Fiscal Year Annual Research Report
多重積層電子デバイス内のミクロ熱移動の解明と沸騰伝熱との連成による除熱促進
Project/Area Number |
06452185
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土方 邦夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 祐二 東京工業大学, 工学部, 助手 (20242274)
中別府 修 東京工業大学, 工学部, 助手 (50227873)
長崎 孝夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (30155923)
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Keywords | 電子機器冷却 / 複合伝熱 / 沸騰伝熱 / 微小発熱素子 / 微小温度計測 |
Research Abstract |
電子デバイスの集積度の増加とともにその熱設計の重要性は益々重要となっているが、集積回路素子内部は、半導体、抵抗、絶縁層、リ-ド配線など、様々な熱伝導率を持つ要素がミクロンオーダーで複雑かつ不規則に入り交じっており、この極度に不均質な材質のミクロ的な熱移動が外部流のマクロ的な熱伝達と連成している。このような複合伝熱問題を解明するため以下の研究を行なった。まず不均質な微細構造内の温度分布を測定するため、ポイントコンタクト熱起電力を利用した極微小点の温度測定法を明らかにした。すなわち金属針と金属平板を点接触させ、その電流-電圧特性を種々の金属について測定した結果、表面に酸化膜が存在する場合には、ある電圧以上で電流が急激に増加し、酸化膜厚さが電子波長程度まで薄いことによる電子トンネル効果が支配的なことが分かった。さらにシュレディンガ方程式に基づく解析を行ない、熱起電力と温度の関係を理論的に求め実測値をよく説明しうることを示した。一方、酸化膜がない場合、電流-電圧特性は直線的であるがやはり熱起電力を生じ、接触径が電子の平均自由行程と同程度まで小さいことによる温度非平衡がその機構であり、ボルツマン方程式に基づく理論解析は実測値とよく一致することを示した。 次に複数の微小発熱面とリ-ド部をガラス基板表面に形成した2次元不均質面を用い、素子単独、および種々の数および間隔の複数素子を発熱させた場合の素子温度を調べた。なお冷却条件はフロリナ-トFX3250のプール沸騰とした。さらに基板内熱伝導の数値解析を行ない実験結果と比較し、素子単独の場合の素子温度はリ-ド部の存在を考慮した解析結果とよく一致すること、また複数の隣接素子が発熱する場合の温度上昇と素子間距離の関係、および素子数の影響を明らかにした。さらに気泡の生成離脱に伴い素子温度は時間的に変動し、微小発熱素子温度は表面の伝熱状態を鋭敏に反映することが分かった。
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