1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06452327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊地 潮美 京都大学, 工学部, 助教授 (70026326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 秀行 (財)応用科学研究所, 室長 (90132795)
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Keywords | 超積層材料 / 積層合金 / 積層構造 / 引張強度 / 硬さ / 力学的性質 / 機械的性質 / 複合材料 |
Research Abstract |
2種類以上の金属原子をナノメータオーダーの周期の層状に積層した積層材料は従来の材料と異なる新しい物性と機能性が発現する可能性を有している。本研究では厚さ数ミクロンの2種類の金属箔を積層して、あるいは金属箔に他の金属をメッキした箔を積層し、拡散接合と圧延のプロセスを組み合わせることにより、ナノメータ周期の超積層材料を作製した。このようにメカニカルに作製された超積層材料の構造と機械的な特性について検討した。本年度はCu/Ni、Ag/Ni、Cu/Coの積層材料を作製し、その構造と組織をX線回折、SEM、TEMを用いて解析と観察を行い、その強度特性を引張試験を行うことによって評価した。また、Cu/Coの積層材料では磁気特性についても検討した。 Cu/Ni超積層材料 最小層間隔12nmの材料を作ることに成功し、この材料の組織をTEMで観察した結果、高転位密度の2相層状組織であり界面は拡散により合金化していた。引張強度は層間隔の逆数にほぼ比例し、層間隔12nmで1300MPaの高強度材料が作製された。Cu-Ni系合金は全率固溶するため、この積層材料を熱処理することによって周期的な濃度変化を持つ材料を作製できる。CuとNiの箔の厚さを種々変化させて、接合と圧延及び熱処理の組み合わせで、表面から濃度勾配をもつ傾斜機能積層材料を作製することに成功した。この材料は高強度で、耐食性のある材料である。 Ag/Ni超積層材料 Ag-Ni系合金は二相分離型の状態図を持ち、二相の界面は合金化せず、Ag相とNi相に分離した層状組織が得られ、この材料の強度は1000MPaを超え、Ag/Ni積層材料で考えられる、従来の理論強度よりも高い値を示した。このことより、今後超積層材料の強度に関するモデルの見直しをする必要がある。また、高温で長時間アニールすることにより層状組織は崩壊し、微細な二相混合組織が形成される。 Cu/Co超積層材料Cu箔にCoをメッキし、そのメッキ箔を積層し、接合と圧延によって超積層材料を作製した。Coの塑性変形能が悪いため、圧延によりCo相が破断しCuの層状構造の間に円盤状のCo相が存在する組織となった。この組織の材料は高強度であり、またこの材料は磁性材料としても注目されているので磁気抵抗について測定を行い、検討する予定である。
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[Publications] Shiomi Kikuchi: "Mechanical Properties of Cu-Ni Super:haminates Fabricated by Rolling" Strength of Materials. 861-864 (1994)
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[Publications] Shiomi Kikuchi: "Fabrication and Mechanical Properties of Cu/Ni and Ag/Ni Super-Laminates" FGM′94(3rd International Symposium on Structual &Functio nal Gradi ent Materials). (印刷中). (1995)
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[Publications] Hideyuki Kuwahara: "Properties and Strudure of Cu/Co Super Lominate Prepared by Electroplating and Peperted Rolling" FGM′94(3rd International Symposium on Structure &Functional Gradient Matorials). (印刷中). (1995)