1995 Fiscal Year Annual Research Report
木質接合部のクリープとMechano-sorptive変形の設計評価
Project/Area Number |
06452364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有馬 孝礼 東京大学, 農学部, 助教授 (10144057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 史郎 建設省, 建築研究所, 研究員
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Keywords | 釘 / ドリフトピン / 機械的接合 / クリープ / Mechano-sorptive変形 / 湿度 / 集成材 / LVL |
Research Abstract |
接合部に関するクリープやMechano-sorptive変形について知見は少なく、変形の評価が重視されるような建築物では経時変化の評価に苦慮している。本年度はLVL(単板積層材)を対象にして釘、ドリフトピンなどの各種機械的接合部の各種湿度変動下でのクリープとMechano-sorptive変形を実験的に明らかにした。研究の性格上時間とスペースを要するので、6年度より開始した実験の継続を基本にして変形のメカニズムを検討した。また、新たな設計によるクリープ装置を作製し、新たな試験体構成を追加し展開を図った。 ベイマツLVLに鉄板添え板し、釘、ドリフトピンによって接合した接合部のせん断荷重における湿度変動下のクリープ変形とMechano-sorptive変形の特性は接合部の剛性、作用する応力比によって変動幅や変形の回復に違いが認められた。全般的にみると負荷初期においては湿度変動に対する対応は明確ではなく、荷重に対する安定化への変動が主体であると推測されるので、3パラメタのクリープ式を与え、それをベースにして長期間にわたる湿度変動を受けるときの撓み量をMechano-sorptive変形として算定した。Mechano-sorptive変形は乾燥によって変形が進行し、湿潤によって回復し、その変動の大きさは荷重大きいほど小さくなり、荷重が繊維直交する方向のほうが湿度変動に対して過敏であった。負荷後初期の段階に当てはめた3パラメタのクリープ指数式は釘あるいはドリフトピン接合のように圧密によって変形が安定化する機構を説明しうるので、長期間にわたる湿度変動を受けるときの変形量は比較的応力比の大きいときには初期応力による変形曲線を基本にして評価しても大過はないと思われる。応力比が小さい時には、湿度変動に伴う撓み増加を湿度変動量の一次式で表示すれば、実用的には大きな問題はないことが認められた。
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