1995 Fiscal Year Annual Research Report
食品のテクスチャと咀嚼活動の関連:咀嚼圧・口蓋圧と咀嚼筋筋電位によるアプローチ
Project/Area Number |
06452379
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
中沢 文子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (60086725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石戸 道子 共立女子大学, 家政学部, 助手
高橋 淳子 聖セシリア女子短期大学, 幼児教育学科, 専任講師 (90146530)
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Keywords | 咀嚼 / 食品テクスチャ / 咀嚼圧 / 咀嚼筋筋電位 |
Research Abstract |
食品のテクスチャを咀嚼活動から評価することを試みた。第一大臼歯の抜けている被験者の義歯内に圧力素子を埋め込み、咀嚼中に第一大臼歯に生じる咀嚼圧を直接測定した。また、3個の圧力素子を固定した人工口蓋を硬口蓋に付けて、口蓋圧を測定した。同時に咀嚼筋である側頭筋前部、咬筋に生じる筋電位を表面電極で測定し、咀嚼圧、および口蓋圧の測定値と比較検討した。食品は、1〜7%ゼラチンゼリー、市販の食パン、プロセスチーズなどの軟らかいものから、ア-モンド、たくあんなどにいたる種々のテクスチャの食品である。 咀嚼の第1回目において食品が圧縮変形するのであるから、食品のテクスチャによって異なる特徴的な咀嚼圧波形、筋電位波形が咀嚼の第1回目に得られた。噛み進むにしたがって食品によらない普遍的な咀嚼圧波形、筋電位波形を示すようになる。咀嚼第1回目の咀嚼圧の積分値である仕事量と、咀嚼筋筋電位振幅の積分値である活動量の間には、高い相関が得られた。咀嚼圧の最大値と、筋電位の最大値の間にも相関があった。口蓋で押しつぶして食べられるゼリーのようなテクスチャの食品では、筋電位は連続的に発生し、リズミカルな波形は認められなかった。ゼリーでも硬さが増加すると、口蓋圧は増加しないにもかかわらず側頭筋の筋電位は増加し、またリズミカルな波形が発生し、歯による咀嚼活動への移行が明示された。 噛み切りにくいテクスチャの食品では、機器による食品圧縮の最大荷重と、咀嚼圧による最大値との相関は低かった。食品の咀嚼圧の最大値を推測するには、機器による最大荷重よりも咀嚼筋筋電位の最大値を利用した方がよいことが示された。
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[Publications] 中沢 文子: "食物のテクスチャと咀嚼活動" 化学と生物. 32. 563-564 (1994)
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[Publications] 中沢 文子 飯村 由美子 高橋 淳子: "咀嚼中の歯の動きを測定する簡易な装置" 日本咀嚼学会雑誌. 4. 72-72 (1994)
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[Publications] 中沢 文子・上田 一夫・石戸 道子・高橋 淳子・三野たまき: "食品のテクスチャーに関する研究;咀嚼圧、下顎運動、咀嚼活動、咀嚼音によるアプローチ" 共立女子大学総合文化研究所年報. 2. 1-9 (1996)
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[Publications] 石戸 道子 中沢 文子: "食品のテクスチャと咀嚼活動の関連" 日本咀嚼学会雑誌. 5(印刷).
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[Publications] 中沢文子: "おいしさの科学 第5章 食品のテクスチャーと咀嚼" 朝倉書店(山野善正、山口静子編集), 19 (1994)
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[Publications] 高橋 淳子: "サイコレオロジーと咀嚼 第7章 ヒトの咀嚼による食品テクスチャー" 建帛社, 26 (1995)