1995 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌遺伝子の誘導発現機構に関する分子生物学的解析とその応用
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06453166
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
塚越 規弘 名古屋大学, 農学部, 教授 (50115599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅士 名古屋大学, 農学部, 助手 (70242849)
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Keywords | 糸像菌遺伝子の発現特性 / Appergillus oryzae / Aspergillus nidulans / タカアミラーゼA / CCAAT / CREA / 転写活性化因子 / マルトース結合タンパク質 |
Research Abstract |
麹菌に代表される糸状菌は我国の醗酵工業の基盤を形成した極めて重要な真核微生物群である。本研究は麹菌Aspergillus oryzaeの生産するタカアミラーゼAの遺伝子をモデル系として、その誘導発現に関わる転写促進因子、転写抑制因子および誘導物質マルトースのシグナル受容機構を分子レベルで解明し、糸状菌における遺伝子の高度利用を目的としている。これまでAspergillus oryzae JCM02239からタカアミラーゼAの染色体遺伝子を2種類と全鎖長のcDNAを分離し、塩基配列の決定などから遺伝子構造の特色を明らかにした。また、タカアミラーゼA遺伝子のAspergillus nidulans形質転換株を取得し、各種培養条件下でタカアミラーA遺伝子の発現特性を解析し、プロモーター漁期に存在するCCAAT配列並びにCREAタンパク質の結合配列が転写制御に重要な役割を担っていることを明らかにしている。 本研究においてはCCAAT配列結合タンパク質(AnCP)の特性を解析するとともに、Repressorタンパク質の一つであるCREAタンパク質のin vivoにおける役割を解析した。また、AnCPタンパク質を核から分離精製することを試みた。AnCPはタカアミラーゼA遺伝子上のCCAT配列のみならず、アセトアミラーゼS遺伝子やGABAトランスアミラーゼ遺伝子上のCCAAT配列にも結合でき、AnCP因子はA.nidulansにおける一般的な転写促進因子であることを解明した。本因子の遺伝子をSouth-Western法やヒトに由来するCCAAT結合タンパク質遺伝子NF-YAaDNAをプローブにした方法によりクローン化を試みているが成功していないが、AnCPタンパク質を核タンパク質から各種カラムを使用して分離することを試みている。CREAタンパク質による転換抑制解除を目的として結合配列を変化させた遺伝子の構築し、カタボライト抑制がどのようになるかを解析中である。また、タカアミラーゼA遺伝子の誘導発現に関わると予想されるマルトース結合タンパク質の分離も試みている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shoko Yoshino et al: "Two Family Gxylanase genes from Chaetomium gracle and their expression in Aspergillus nidulans" Current Genetics. 29. 73-80 (1995)
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[Publications] Noriyuki Kitamoto et al.: "The nitrate reductase gene fron a Shoyu koji mold,Aspergillus oryzae KRN616" Biosci.Biotech.Biochem.59. 1795-1797 (1995)
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[Publications] 塚越 規弘: "菌類に備わる植物細胞壁成分分解酵素遺伝子郡の分子特性" 日本農芸化学会誌. 69. 353 (1995)
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[Publications] 塚越 規弘: "カビにおける遺伝子発現制御系と転写因子の特性" 化学と生物. 32. 48-54 (1994)
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[Publications] 北本 則行ら: "カビのペクチン分解酵素遺伝子群" 日本農芸化学会誌. 69. 369-372 (1995)
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[Publications] 別府輝彦編: "微生物機能の多様性" 学会出版センター, 526 (1995)