1994 Fiscal Year Annual Research Report
活性アレン種を潜在的に有する新規なシステインプロテアーゼ阻害剤の合成開発
Project/Area Number |
06453215
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長尾 善光 徳島大学, 薬学部, 教授 (40027074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 茂樹 徳島大学, 薬学部, 助手 (20226038)
木原 勝 徳島大学, 薬学部, 助教授 (80035550)
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Keywords | アレン / システインプロテアーゼ / カテプシン / 酵素阻害剤 / ペプチド / 生体模倣反応 / マイケル型反応 / チオール基 |
Research Abstract |
新規なシステインプロテアーゼ阻害剤として独自に合成開発したジエチルα-アシルアミノ-α-アルキニルマロネート(DAAM)をリ-ド化合物とし、特異的酵素認識能を与えることによる酵素阻害活性の向上を目的とした新規誘導体の合成ならびに酵素阻害実験を実施した。すなわち、ケトマロン酸ジエチルとN-アシルトリフェニルホスフィンイミンとのアザウィッティに反応で得られるイミノマロネートヒ各種リチウムアセチリドを反応させエチニル体を合成し、L-Arg-L-Arg、L-Phe-L-Arg、L-Arg等をC末端側での結合により側鎖として導入した。しかしながら、これらの化合物はDAAMと比較してカテプシンBおよびLに対する酵素阻害活性の顕著な増強傾向を示さなかった。そこで、ケトマロン酸ジエチルとリチウムアセチリドとの反応によりエチニル体を合成し、DAAMのアシルアミノ基の代わりにOH基やOAc基を有し、酵素認識部位としてL-Ile-L-Pro-OH(-O^tBu)をN末端側で結合した新規誘導体を分子設計して合成に成功した。得られた化合物のカテプシンBおよびLに対する酵素阻害活性をZ-L-Phe-L-Arg-MCAを基質として検討した結果、OH基を有する化合物は10^<-7>MにおいてカテプシンBを有意に阻害した。これはジペプチド構造が酵素認識部位として機能することを示唆している。また、^tBuエステル体のカテプシンB阻害活性はカルボキシル体に比べて若干低下しているものの、カテプシンLに対しては全く阻害活性を示さないことからカテプシンB特異的な阻害剤として注目に値する。 また、酵素阻害の発現機構を解明するためエタンチオールを用いた生体模倣反応を実施し、種々のチオール付加体を得た。この結果から、酵素の失活はSH基のMichael型付加反応に起因すると考えられる。
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