1994 Fiscal Year Annual Research Report
血管壁障害、修復の制御機構における血管内皮細胞機能に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
06454186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 靖彦 九州大学, 医学部, 助手
河野 真司 九州大学, 医学部, 助手 (20225379)
中川 和憲 九州大学, 医学部, 助手 (50217668)
中島 豊 九州大学, 医学部, 助教授 (50135349)
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Keywords | 動脈内膜障害・修復 / サイトカイン / 遺伝子導入 / HVJ・リポゾーム / ヒトCMV・IE遺伝子 / 接着蛋白 / VEGF / 血管新生 |
Research Abstract |
1.動脈内膜の障害発生、修復とサイトカイン 1)遺伝子導入モデルを用いた解析:動脈壁遺伝子導入モデルの開発を目的とした予備実験として、β-ガラクトシダーゼ遺伝子導入を指標としてHVJ-リポゾーム法を用いて、その導入効率および導入標的細胞の同定、分布を検討した。本法により家兎総頚動脈の中膜平滑筋細胞の約80%に遺伝子導入が可能であり、また導入遺伝子の発現は、導入後少くとも2週間迄は十分に持続していた。さらに本法による内皮細胞障害として、部分的内皮細胞の胞体の膨化を認めたが明らかな剥離は軽微であった。従って本法の動脈壁内遺伝子導入効率は高く内膜障害の治療法への応用のみならず障害因子遺伝子導入による障害モデルの作製に有用と考えられた。本法を用いてヒトCMVのIE遺伝子を家兎総頚動脈に導入すると2週までに明らかな細胞線維性内膜肥厚を招来した。この内膜肥厚は平滑筋細胞の増生とマトリクス産生亢進によるものであった。in vitroの平滑筋細胞へのIE遺伝子導入結果ともあわせて、in vivo内膜肥厚にはTGF-βなどのサイトカイン産生誘導が関与していることが示唆された。2)アポE欠損マウスの動脈硬化病変における内皮細胞の接着蛋白発現:走査電顕により接着蛋白の発現をin situ免疫電顕法で観察すると、超早期動脈硬化病変の大動脈内皮細胞に発現されるICAM-1、VCAM-1が動脈硬化病変の発生機序、特に内皮細胞・マクロファージ接着に重要と考えられた。 2.糖尿病性網膜症の発生に関する検討:ストレプトゾトシンによる誘発ラット糖尿病モデルを用いて網膜血管透過性亢進とVEGFmRNAと蛋白発現を検討した。透過性亢進に一致して網膜内グリア細胞によるVEGF発現が認められた。培養グリア細胞はVEGFを発現しており、低酸素にてこの発現は亢進される。糖尿病性網膜症の発生にはグリア・内皮細胞連関、特にVEGFの発現誘導と血管の透過性亢進ならびに新生が重要であることが示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yasuaki Hata: "Hypoxia-induced expression of vascular endothelial growth factor (VEGF) by retinal glial cells promotes in vitro angiogenesis." Virchows Archi. (in press).
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[Publications] Akira Takei: "The effects of fibrin on the angiogenesis in vitro of bovine endothelial cells in collagen gel." In Vitro Cell Dev Biol. (in press).
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[Publications] Minoru Takeuchi: "The localization of lipopolysaccharide in an endotoxemic rat liver and its relation to sinusoidal thrombogenesis." Path Res Pract. (in press).
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[Publications] Masato Kumamoto: "Intimal neovascularization in human coronary atherosclerosis:Its origin and pathophisiological significance." Hum Pathol. (in press).
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[Publications] Hiroaki Ishibashi: "Conditioned media of carcinoma cells cultured in hypoxic micro-environment stimulated angiogenesis in vitro." Virchows Archiv. 426. 561-568 (1995)
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[Publications] Yutaka Nakashima: "Apo E-deficient mice develop lesions of all phases of atherosclerosis throughout the arterial tree." Arterioscler Thromb. 14. 133-140 (1994)
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[Publications] Katsuo Sueishi: "Procoagulant properities of atherosclerotic aortas." The New York Academy of Sciences (in press),
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[Publications] 居石克夫: "播種性血管内凝固症候群" 中山書店, 327-344 (1994)